未来の共鳴、王国への提言
王都の祖父母宅への「特別放送」が成功したという知らせは、アリアの研究室に、大きな興奮と、そして新たな使命感をもたらした。アリアは、ライナー先生や研究室のメンバー、ロジャー、エディス、フェリックス、リリーに深々と頭を下げた。
「皆様。私の作ったミニチュア版魔力波塔が、王都まで声を届けることができました。これもひとえに、ライナー先生のご指導と、皆様のご協力のおかげです。本当に、ありがとうございます」
アリアの謙虚な言葉に、ライナー先生は優しく微笑んだ。
「アリア様。貴女の才能と、飽くなき探求心こそが、この成果を生み出したのです。我々は、その一端を担わせていただいたに過ぎません」
ロジャーが、力強くアリアの肩を叩いた。
「アリア様。貴女の発想は、魔導具の常識を覆しました。この技術が、王国の未来を変えることでしょう」
「古の伝説が、アリア様の手によって、現代に蘇ったのです。学術的にも、これほどの興奮はございません」
エディスも、その知的な瞳を輝かせながら語った。
アリアは、そんな研究室のメンバーを見渡すと、改めて真剣な表情を浮かべた。
「皆様。これから、私の『放送』は、もっと遠くへ、もっとたくさんの人々に、希望の音色を届けていきたいと思っています。そのためには、もっと大きな魔力波塔や、中継局のようなものが必要になると思います。きっと、今まで以上に大変な研究や作業が増えると思いますが……どうか、私に、お力を貸していただけませんか?」
アリアの言葉には、決意と、そして仲間への深い信頼が込められていた。研究室のメンバーは、一斉に頷いた。
「もちろんです、アリア様!貴女の夢の実現のためなら、我々も全力を尽くします!」
リリーが、明るい声で応えた。
「アリア様の研究は、我々にとっても新たな探求の場です。喜んで協力させていただきます」
フェリックスも、真面目な顔で頷いた。
ライナー先生は、アリアと研究室のメンバーの熱意に、心から満足していた。アリアの「放送」は、もはや彼女個人の研究に留まらず、学術界全体、そして王国全体の未来を担うプロジェクトへと発展しようとしていた。
その日の午後、ライナー先生は、バルドリックと、王宮にいるアレクサンダー宛に、緊急の書状を送った。書状には、アリアの「魔力波塔」のミニチュア版による王都への通信成功の報告と、その技術が持つ計り知れない価値、そして、今後の展望が詳細に綴られていた。
「……上記により、アリア・リンドバーグ様の『声聞魔法』と、その応用である『魔力波塔』は、長距離、広範囲への情報伝達を可能にする、革命的な技術であることが証明されました。これは、王国の災害対策、辺境地との通信、そして国民の生活向上に多大なる貢献をなすものと確信いたします。
つきましては、この技術を王国全体に普及させるべく、本格的な『魔力波塔』の建築、並びに主要な拠点に『中継局』を設置することを、王宮に正式に依頼させていただきたく存じます。これは、王国の未来を築くための、最重要課題であると、我々研究室一同、確信しております。
ライナー・グレンジャーより」
ライナー先生は、手紙を書き終えると、深く息をついた。彼の提言は、アリアの「放送」を、単なる貴族の趣味ではなく、王国の公共インフラとして確立させ、王国全体の情報網を刷新するという、壮大な計画の幕開けを意味していた。
王都に届けられた書状は、国王、女王、そして先代の王の元に届けられ、その内容は、彼らの心を大きく揺さぶった。




