小さな夏
「君、名前は?」
一人ショッピングモールの前で座っていたら自分と同じ四歳くらいの女の子にしゃべりかけられた。
その子はまるでヒマワリを顔に貼り付けた様な笑顔だった、服は夏の季節が似合う半袖短パンだった。
「僕は夏って言うんだ。」
「え?貴方夏なの、じゃあこの暑いの何とかしてよー」
(そんな事僕に言われてもな~)
「あ、そうだ涼しくすればいいんだね」
僕は駆け足で手を引いてお店の中に入った
「涼しいーってこれで涼しくなったとか考えてないでしょうね。」
「あれ?ダメだった?」
彼女は少し頬を膨らませてプイッと向いてしまった、僕はそんな様子にフフっと笑ってしまったその時
「ちょっとタクヤどこ行ってたのよ」
後ろで母親の声が聞こえてビクっとした。
「な、何でここに母さんがいるんだよ?」
僕は驚きながら聞いたが母はあきれたように。
「アンタを探していたのよ、まったく勝手にどっかいかないでよ」
「あ、そっかぁ僕迷子だったのか」
ショッピングモールに親と一緒に出かけている途中にソフトを売っている物に目を奪われて気づいたら親とはぐれて外で困り果てて座ってしまったんだ。
「私も夏って言うのよ」
耳元から聞こえた声に急いで振り返ったが彼女は何処にもいなかった。
僕は何故か頬が熱くなった。