第3話 あっ(察し)
「あいつ殺す、絶対殺す、次会ったら殺す、地の果てまで追いかけて殺す圧殺絞殺刺殺‥」
拳を固く握り締めた手は、指先はわずかに震えていた。爪が掌に深く食い込み、その跡は赤く腫れ上がっている。さらに強く力を込めた瞬間、皮膚が薄く裂け、小さな傷口から赤い血がにじみ出た。
血はじわりと広がり、指の関節を伝って滴り落ちそうになる。熱を帯びた掌は鈍い痛みとともに脈打ち、握り締めた拳の中で体温よりも熱く生ぬるい液体の感触が広がっていった。
しかし、その手は解かれない。痛みによって指先が震えても、血が爪の間を染めても、拳を開くことはなかった。まるで、その痛みこそが理性を保つ最後の手段であるかのように。
コユさんは次俺が何をするか期待する目で見ている
ケン君の精神状態がよろしくないなー。これは前世でケン君にやったら喜んでいたことをやるしかない。
( ˶'ᵕ'˶)۶"ナデナデ
あ
( ˶'ᵕ'˶)۶"ナデナデ
( ˘ω˘ )スヤァ…
ふふケン君こうするとすぐ寝ちゃうんだよね。とりあえずソファに寝かそう。一時的だすぐにちゃんとしたベッドを用意をしよう。
コユさんも納得したように頷いた
俺は家で一階でコユさんと一対一の対面形になった。改めて見るとコユさんの顔は思わず吸い込まれる。美しい、
彼女の肌は雪のように透き通り、冷たさを感じさせるほどの純白さを帯びている。整った顔立ちは彫刻のように美しく、特にその瞳は深い湖を思わせる冷静さと知性を湛え、見る者の心を射抜いた。唇は薄紅色で、何も語らずともその存在感だけで物語を語る。
さすが神が俺好みに作ってくれた。ということか
「なんじゃ?わしの顔に何か付いとるのか?」
「いいや、一つ聞きたいんだがお前らがさっき使ったら魔術?は俺も使えるのか?」
男は全人類の夢にしてロマンの真骨頂をついに聞いた。やはり小説かアニメでしか聞かない魔法を見せられたんだそれも自分の飼っていたハムスターからだ。意味が分からない、そして聞かずには言われない。
コユさんが指をあごに当てて考える。
結論から言うと多分無理じゃ
俺はがっかりする。
まず前提条件に神はいない。
いきなり問題発言が飛んできた。コユさんそれはアウトです
訂正する神はいないかもしれない
人類が尊敬し敬う神は存在しない。ただ神らしき存在はいる。なぜならそいつに会ったからじゃ
わしが死んだときは目が覚めると真っ白な空間だった。そこで私は霊体の扱いだった。霊体、あいつは自分のことをヒトガタと呼称していた。今まで死んでいった意識の集合体なのだと言ってた。他にもわしのように死んでいった霊体もおったはそいつらは色んな言語でそいつに質問していた。英語、中国、アラビア語、日本語もあったわい。次は私の番だった。私は聞いたのじゃ、男は今どうなっとるかとそしたらあいつは映像を見せてくれた。今丁度襲われているところだった。ワシは愛する男の危機をただ見ることしかできないのか
(助けに行きたいか?)ワシは首を縦に振った。その前にいったんじゃついでにケンシロウをつれてけと。
それで俺の胃から出てきたってわけか‥
あいつによると大まかな場所しか指定できないとな。前やったときは、事故死した女が彼氏の男のもとにいきたといい、行かせたら二人は文字通り合体したそうな。
うわぁ‥まじか‥
まぁ神はいないんじゃ。雨乞いで雨が降るのは雨が降る儀式を雨が降るまでやってるだけだし占いはバーナム効果でその気になっているだけじゃ。この世にあるすべての神に対する祈りの効果は無意味じゃ。それは気持ちの問題にすぎん。
とういうかそれで俺が魔術を使えない関係と何があるんだ?
ヒトガタが言ってたのは人類はまだ発見していないだけで目に見えない物質が満たされているって…それが魔術の原動力になっているみたい。
それってダークマターのことではなく?
ううん違うのじゃ。それを人類が解明できる文明レベル‥カルダシェフ・スケール5はないと無理だそうだ。
カルダシェフ・スケール5かぁ‥人類はまだ1にもなってないから何百万年先だな。
逆にそれだけ文明レベルが発達すれば人類は手から炎を出せたりするのが当たり前になる世界になるってことか。しかもそれが確約してると。けど嫌だな魔法が世界を支配世界。
魔法犯罪がはびこりそうだし。
魔法が使える人と使えない「ノーマル」間で社会的格差が拡大。魔法特権階級化が進む一方、反魔法運動も活発化。
なんてことも‥ディストピア
ただやり方を教えることができる。魔術はやり方さえ覚えれば人類の誰でも使えるユニセフみたいなものだとも言っておった。もちろん向き不向きもあるらしいがの。
人によって魔力を溜められる魔力量も違うらしい。コユさんとケン君はハムスターという性質上たくさん貯められるらしい。そして何らかの方法で失った魔力は時間経過で回復する。それも人によって違うらしい
俺は寝る。聞けたいことも来てたしな。お前らと会ったのはうれしかったけど。
この時間が夢であったことを願うよ。
ワシはこのあたなといる瞬間が一生続くことを願うよ
俺は階段を上がる。
すると下から宴じゃ~と何やら楽しそうな声が聞こえてきた。どうやら2人は俺が未成年で酒を飲めないのを知ってて我慢してたらしい。元来ハムスターはお酒に強い。なぜなら口の中にご飯を詰め込む性質上発酵に強くないと自分が酔ってしまうからだ。俺が成年してたらあの和に入れたのになと思う。
酒で酒盛り騒ぐ
「さっき抱きしめられたぞ〜」
ファミレスでのことを言っているのだろう。別に抱けと言われたから抱いただけだが
「我々は見えなかった頃はいつも抱いてたじゃないですか」
聞こえなかったことにする。あの空間にいたら酔った勢いで頬につめられそうだ。
そういえばなんでいきなりあの2人が見えるようになったんだろうな?
in朝
「お兄ちゃん起きて起きないとちごぉ」
ガチャ
聞き慣れた定型文なので声を楽しむことなくアラームを消す
今日もお兄ちゃん型アラームで新たな一日が始まる。
俺は足をジタバタしながら上半身を起こす
「うー朝だー朝だ朝だ朝だ朝だっていうのに悪夢は‥」
ってあれ?
2人はいない。
昨夜「パソコンを借りるぞ」と言ってたはずだからてっきり日本のゲーム文化に触れて夜更かしでもしてると思ったけど‥
もしかして本当に夢‥なのか‥
階段に向かう寝室のドアを開けると何やらいい匂いがしてきた。あの三人のうち誰かがご飯を作っているのだろう。俺は浮足立って階段を降りる。
みんなおはよー
おはよう(ございます)(なのじゃ!)
ん?いつもなら3人分の返答が返ってくるはずなのに今回は2人多い気が‥
一番お寝坊さんじゃの今お主の大好物を作ってるからな。
僕も手伝ってますよー!
男ちゃんいつの間に女を捕まえてきたの?それもこんなに美人の。
俺は頭がクラッとした
お前らなんでいるんだーーー!!
お義母さんにここに住まわせてくださいと言ったらokもらったんです!
嘘つけ!どうせ催眠とかかけて俺の親を騙してるんだろう!
コユさんがピクッと反応しカンカンカンと料理の続きを始めた。
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朝の柔らかな光がダイニングテーブルを照らし、温かな香りが部屋中に広がっていた。
焼きたてのトーストはきつね色に香ばしく焼き上がり、表面はサクッと音を立て、中はふんわりとした食感を約束している。バターがその上で静かに溶け、黄金色の輝きを放ちながら芳醇な香りを漂わせた。横にはふわふわのスクランブルエッグが湯気を立てて盛られている。鮮やかな黄色が朝の光に映え、クリーミーで滑らかなその質感は、一口食べれば口の中でとろけることを予感させた。脇にはジューシーなベーコンが添えられ、軽く焦げ目のついた脂身が香ばしい香りを放つ。
サラダの皿には、新鮮なレタスやルビーのように赤いトマト、シャキシャキとしたキュウリが彩りよく並び、爽やかなドレッシングの香りが食欲をそそる。さらに、ヨーグルトの上には蜂蜜がとろりとかけられ、その上に乗せられたベリーの酸味が朝に心地よい刺激を与えてくれる。
最後に、テーブルには淹れたてのコーヒーの香りが漂う。ほろ苦い香りと湯気の立つマグカップを手に取ると、朝の静けさとともに一日の始まりを告げる幸福なひとときが広がっていた。
(俺はコーヒーを飲めないのでそっと幼の方にコーヒを押す)
「いただきまーす」
一口目のトーストをかじると、外側のサクサクとした食感と内側のふんわりとした柔らかさが心地よい対比を生み出した。バターの芳醇な香りとほのかな塩気がじんわりと口の中に広がり、噛むたびに優しい甘みが舌に残る。そのシンプルな美味しさが、体の奥からゆっくりと目覚めさせてくれるようだった。
次にフォークでスクランブルエッグをすくい、口に運ぶ。とろけるようななめらかさと、クリーミーで繊細な味わいが広がり、舌の上でふわりと消えていく。ほのかに感じるバターとミルクの風味が優しく、心を穏やかに満たしていった。
「……もう一杯、いい?」
そう言いながら妹は恥ずかしそうに笑ったが、手はすでに茶碗を差し出している。湯気を立てるご飯がよそわれる様子を見つめるその目は輝き、箸を持つ指先がわずかに動いていた。
「お兄ちゃんの胃袋は渡さないんだからね!」
ご飯粒飛ばしながら言うと説得ないぞ
ごちそうさん
俺は立ち上がる
俺は着替えに行く
土曜の朝の日課のランニングだ。俺はTシャツに着替えて準備する。外は肌寒いからな1枚多めに着ていくか。すぐに脱ぐだろうから
夜明け前、空がかすかに白んでいく頃。ランニングシューズのソールがアスファルトを軽やかに叩く音だけが静かな街路に響く。スタート地点は並木道が続く小さな公園。木々の間から差し込む朝の光がまだ淡く、空気はひんやりと澄んでいて、一歩一歩走るたびに胸いっぱいに冷たい空気が流れ込む。
公園を抜けると、道は川沿いの遊歩道に続く。川面は朝日を受けて金色に輝き始め、時折、水鳥が羽音を立てて飛び立つ姿が視界の隅をかすめる。両側を縁取る低木や花壇の花が静かに揺れ、朝露が葉先でキラリと光る。ランナーや散歩をする人々がちらほらと現れ、互いに小さく会釈を交わす瞬間、街が少しずつ目覚めていくのを感じる。
そのまま進むと、わずかな傾斜の坂道が現れる。心拍数が上がるにつれて足取りが重くなるが、坂の先に広がる街のパノラマを思うと、自然と力が入る。坂を登りきった瞬間、眼下には目覚め始めた都市の風景が広がり、遠くのビル群が朝日に照らされて赤く染まっている。
最後の直線は大通りを横切るコース。通勤を始めた車の音と、どこかのカフェから漂う焼き立てのパンの香りが朝の活気を運んでくる。ゴール地点の公園に戻ると、体は汗で心地よく温まり、呼吸は深く穏やかに整っている。
ふと、前方に見覚えのあるシルエットが目に入る。軽快なステップで走るその後ろ姿。あのクセのある短髪、鮮やかな青のパーカー -間違いない。
あ、友
おー男じゃん
一言話すと友がこんな提案してきた。
ちょうど近くにコート場があるしさ〜何か勝負でもする?
いいなそれじゃあ景品は勝ったほうが負けた方の言う事を聞くってのはどうだ?
定番だがこれでいい。
んはぁ!それいいね!じゃあ早速やろうか
ちょうど近くにバスケットボールがあったので1ON1をすることになった。友に先行
友はボールを地面につけずに両手でお手玉をするようにしている。
よっしゃ私の勝ち〜
え?どういうことだ?今瞬間宇宙の法則が変わったのか?
タンタンタンタン
後ろを見るとボールがネットに入ったような感触があった。
ポカーンとしている男に友が教える
男が目で追っていた時にはもうボールは中には入っていたんだよ。まさか決まるとは思っていたなかったけどね。こんなのに引っかかるとは思ってなかったけどね
なんと俺はすでにそこにはないボールを追っていたということか。
次は私の番〜
友は勝った気でいる。よし一泡吹かしてやろう
良い〜スタート!
速攻で決める!俺は友の横をすり抜けるが、友はさすがの反射神経か急に始めたのにも関わらず反応してきた。しかし俺は既にダンクシュートを決めようと地面から足が離れていた。
え、ちょ、まって
俺は友を押し倒す形なってしまった
俺の命もここまでのようだ。妹よ家のことはまかせた。
俺はすぐにその体制を解除し正座した。
何してるの?
不覚にも押し倒すような形になってしまったことお詫びします。どうぞふんずけるなり殴るなりしてください。
俺は土下座する。バスケットコートで土下座する俺何とも惨めだ
そんなことしないよ。あれは事故だったんだよ。男がわざとそんなことをしないことは知ってる。
それで勝負は私の勝ちだね。コートに入ってなかったよ
あれぇコートに当たったような音はしてたけどなぁ
それで罰ゲームは何にしようかな〜
あ!そうだ!
来週委員長と河川敷のボランティアがあるでしょ
確かにあるが
何が目的だ?
私も参加させてよ!
委員長と二人っきりじゃなくて私もいたほうが効率はいいでしょ?
友の行っていることはもっともだ。
よし決まり!それじゃあね!私家の手伝いあるんだった。
走り去る友耳が赤かったのは運動したせいだろう。
(友に悪いことさせちゃったな)
(こんなことが起きるなら一生バスケやってもいいのに)
「交差する2人の関係」
「これからどうなっちゃうの〜?」
いたのか二人とも
見るとスポーツウェアを着た。2人がいる。汗を流している。運動したあとだろうか。
なんでお前らがここにいる?
私達はハムスターですハムスターは運動しないといけないんですよ?
都合のいいときだけハムスターになるな!
俺たちは市の図書館に来た。2人とも勉強したいらしい。何とも殊勝な試みだ。
2人とも読みたい本をを持ち込んで読み出した。ケン君は料理の本を、コユさんは哲学と宗教の本だ。カントやソクラテスの文字が見えるが私には誰か誰だかさっぱり分からない。
僕はもっぱら宇宙の本。だってさ?宇宙の話って壮大出し未解決な問題がたくさんあるんだよ?
そうやって午後の時間は終わった。途中コユさんが明らかに取ることを想定していない位置にある本をジャンプで飛んでみんなに驚かれるというアクシデントもあったが‥
もう家に帰ろうとしたところ、2人に河川敷に誘われた。どうやら俺が魔術をどれくらいできるか見てみたいという。ついに強化イベントが来た。
まずケン君が見せてくれたのは血相術(ケン君名称)自身の血液を媒介に剣を作ったり指の先から銃弾なみのモジュールの血塊を出すという。ひとまずこれは論外、ケン君は魔術量を血液に変換できるからいいけど俺はただの人間だ。血液が1リットルなくなるだけで貧血を起こした。
慌ててすぐコユさんが輸血してくれた。
かろうじてできたのは身体強化だ。そこにあったて鉄棒を握りつぶせるくらいのものだ。これでとケン君にに言わせれば初級の初級できないと魔術はやらないほうがいいと言われるレベルだ。コユさんに調べてもらったところ魔力量は今まで測ってきた人間の平均はあるらしい。いやないらしい。ここで魔力量で物を言わせる無双物語は文字通り夢想に終わる。