表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フクロウ騎士団のお世話係に任命されましたが、鬼団長の溺愛はわかりにくいです  作者: 楠結衣
異世界の神様に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/17

7.一瞬で目が覚めました


 赤ちゃんフクロウのお世話係をはじめて一週間。フクロウ舎に雛たちの声が響く。


「ああ〜わたしのなのっ!」

「ワッシ、ダメだよ。ゴハンはじゅんばんなんだよ」

「だって、おなか空いちゃったんだもん……」


 食いしん坊のワシミミズクのワッシがホーリーのご飯を食べてしまった。ホーリーがぷんぷん怒っていて、メンが食べてしまったワッシを注意する。


「あああ、ワッシはちょっと待っててね……っ!」


 配合や量を指示されたものを個別に用意しているので、慌ててワッシをホーリーのご飯から引き離す。ワッシが最後に食べる予定だったのに、食いしん坊のワッシが我慢できずに食べてしまった。でも、ワッシを最初にすると、ご飯大好きワッシがずっとのんびり食べててほかの子がお腹が空いてしまう。


 正直なところ、ご飯ひとつあげるのも手を焼いていた。うう、すべてが手探りすぎて、子育てをしている世のお母さんを尊敬する日々を送っている。


「ふえ〜〜ん。ホーリーのごはん食べちゃって、ごめんなさい〜〜〜!」

「ワッシ、怒ってないよ。ちゃんとホーリーにごめんなさいできるかな?」


 こくんとうなずくワッシ。怒っているホーリーのところに歩いていく。


「ホーリー、ごめんなさい」

「うん、いいよ。わたしの、たべちゃいやよ」


 くっ、うちの子かわいい。もふがもふに謝ってて、尊すぎる。


「ホーリー、いいよしてくれてありがとう。ワッシ、ちゃんと謝れて偉いね。ホーリーの次にワッシの順番だから待てるかな?」

「……うん」


 こくんと頷いたワッシの涙を優しくぬぐう。素直で可愛いワッシをこしょこしょ撫でると、キャッキャッと笑った。


「ヒナタ〜、早くちょうだい」


 ホーリーの口にカットしたマウスを近づけると、パクッと食べる。お腹いっぱいになって口を開けなくなった。


「もういらないの〜ごちそうさま」

「ホーリー、いっぱい食べて偉かったね」

「うん。わたし、えらい〜」


 汚れたくちばしを拭いて、体重を測って記録する。三匹のご飯を終えて、日向ぼっこしているみんなの目がとろんと細くなって気持ちよさそう。


「なでて〜」

「ヒナタ……ねむたいよぉ……」

「ふああ……」


 メンの言葉に私も座る。お膝の上に乗ってくる三匹に思いっきり頬が緩む。ふわああ〜本当にかわいい。ぽかぽかしたお日様を浴びながら、みんなを撫でているとすっごく癒される。もふもふとぽかぽかのダブル攻撃にうとうと睡魔に襲われてしまう。


「お掃除しなくちゃ……」


 お仕事中だから寝たら駄目だと思うけれど、まぶたが重たくなっていくのを止められない。ほんの少し目をつむるだけ……次はフクロウ舎の掃除をして、フクロウたちの成長記録をつけて、あとはなにをするんだっけ……?






「まさか今から昼寝をするわけじゃないよな?」


「ひっ……! 団長、なぜここに?」



 見上げた先に団長が立っていて、一瞬で目が覚めた。眠気なんて驚くくらいどこかに消え去っている。


「ま、ま、まさか、寝るなんて……ちがいますっ! もふもふとぽかぽかの相乗効果でまぶたが重たくなってたなんてことは、本当にないです! わ、わたしは、今からフクロウ舎の掃除に行ってまいりますので、これにて失礼します……っ!」

「待て」

「ひえ……っ!」


 立ちあがろうとした途端に止められて泣きそうになる。どうしよう、異世界で仕事クビとか本当に笑えない。


「団長、ごめんなさい! クビだけは勘弁してください!」

「何を言ってるんだ? フクロウ騎士団で面倒見ると決めたからには、そんないい加減なことはしない。これからもちゃんと鍛えてやるつもりだ、安心しろ」

「ははっ、ありがとうございます……?」


 力強い団長の言葉に喜んでいいのか、恐れるべきか分からなくなる。


「あの、クビじゃないならどうしたんですか……? あっ、フクロウたちについてですか?」


 もしかしてフクロウの注意事項かもしれないと姿勢を正した。青い瞳に挑むように見つめて、団長の言葉を待った。


「ヒナタ、俺と付き合え」

「えええっ?!」


 団長の言葉に目を丸くする。


「ある程度の物は支給したつもりだが、それだけでは足りないだろう。街の案内も兼ねて、必要なものを買い出しに行くぞ」

「あっ、付き合えってそういう意味ですか……びっくりした……!」

「どういう意味だと思ったんだ?」

「あっ、いや、まあ、異性としてお付き合い……? みたいな意味かな? なんて……」

「はああ〜、成人を迎えてない子供には興味はない」

「えっ? 私……とっくに成人を迎えてますけど?」


 ため息をつく団長に、こっちがため息をつきたくなった。日本でも童顔だから年齢を間違えられることはあったけど、まさか異世界も同じなんて予想外。



「…………は?」


 団長は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。それから団長が私と同じ二十四歳だと聞いて、私も鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。あっ、ちなみにオウル王国の成人は十八歳でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛作品を色々書いています୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
よかったらのぞいてみてください♪
ヘッダ
新着順① 評価順② 短編③ 商業化④ お勧め作品⑤ 自己紹介⑥
ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
[気になる点] えっ!ヒナタは社会人だからそれくらいかなと思ってたけど、団長も!? [一言] モフモフ赤ちゃん可愛い( *´艸`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ