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6.side ルーカス団長②

ルーカス団長視点です♪

この話で団長視点は一度おわりです

 

 翌日、少女から話しを聞くために話し合いの席を設けた。

 

「……っ!」


 扉から現れた少女は、フードルとミミーを見て目を輝かせる。昨日も思ったがフクロウが好きなのだろうか? 軽く咳払いをして、座るように促した。


「俺は、フクロウ騎士団の団長を務めるルーカス。このフクロウは俺の相棒のフードルだ。こっちは副団長のオリバーとその相棒フクロウのミミー」


「えっと、私はヒナタです。昨日は助けていただいて、本当に有難うございました。あの、運んでいただいてすみません。それに朝食や、着替えも……」


 間違いない。この少女、いやヒナタはフクロウが好きなのだろう。目がずっとフードルとミミーを往復している。それから我が国や近隣諸国では発音しにくい名前を告げたことで、流れ人の可能性が高まった。


「礼は要らない。どうして森の中にいたか説明してもらおう」


 ヒナタの言葉を逃さぬように視線を向ける。ヒナタは流れ人の可能性が高いが、他国の間者である可能性もゼロではない。慎重に見極める必要がある。


「はあ、団長。尋問じゃないのに、女の子を怯えさせてどうするんですか? ごめんね。団長はちょっと顔が怖いけど、悪い人じゃないからね」


 オリバーの大袈裟なため息に眉を寄せたが、柔和なオリバーの方が話しやすいだろうと思い口を閉じた。


「ヒナタの格好は、このオウル王国や周辺国でも見たこともないんだ。それに普通の人は入らない森の奥で見つかったからね。ヒナタは、違う世界からやってきた『流れ人』だと思うけど、どうかな?」

「……たぶん、その流れ人だと思います。私は日本という国で事故にあった後、気づいたら森の中にいました」


 昨夜読んだ流れ人の文献とヒナタの話を照らし合わせる。俺から追加でいくつか質問をしても嘘をついている様子は感じられない。


「フクロウ騎士団で預かることになると思うが、ヒナタは何ができる?」


 余程酷い事故に巻き込まれたのか、ヒナタ自身が元の世界に戻れないと思っていることに驚いた。それならば、この世界で生きていけるようにフクロウ騎士団で面倒をみるのがいいだろう。


「団長、いきなり働けっていうのは酷ですよ。まずはオウル王国に慣れてもらいましょう」

「暇だと碌なことを考えない。働きながら慣れればいい」


 オリバーの言葉も分かるが、人間は誰かに必要とされている方が活力が湧く。


「あ、あの……私はフクロウが大好きなので、雑用でもなんでも、フクロウに関わることができるなら何でもやります! フクロウ騎士団で働かせてください。お願いします」


 ヒナタの顔が決意した顔に変わる。ああ、いい顔だなと思う。


「我は賛成だな」


 すぐにフードルが賛成を口にした。フクロウ騎士団で一番強いフードルがヒナタを認めたならば決まりだな。何より俺が頑張ろうとしているヒナタを応援したい。


「フードルさん、昨日は助けてくれて本当にありがとう」

「『さん』など不要。我のことはフードルと呼べばいい。ヒナタ、我のブラッシングを毎日頼む」

「フードルのブラッシングさせてもらえるの? ありがとう……っ」


 相棒契約していないヒナタが二匹と会話している様子に、オリバーと顔を見合わせる。流れ人に不思議な能力が備わっていると聞いていたが、契約しなくてもフクロウと話せるとは驚いた。



 ヒナタとオリバーが雛三匹のいるフクロウ舎に向かうのを見送る。



「明日からヒナタのブラッシングが楽しみだ」

「フードルが気にいるなんて珍しいな。言葉が分かるからか?」

「いや、もし我と話せなくともヒナタのことは愛おしく思うだろうな。理屈ではなく守ってやりたいのだ。我は人間のことは分かぬことも多いから、ルーカスがよく見てやってくれ」


 もちろんフードルに言われなくても異世界からやってきたヒナタのことを見守るつもりだ。フードルの羽根をひとつ撫でる。


「ああ、わかってる」

「うむ、頼んだ。我は森を見てくる」


 フードルが音もなく飛び立った。俺はヒナタが流れ人であること、フクロウ騎士団で預かる報告を終えて、フクロウ舎に向かう。雛たちにとても懐かれていて、拍子抜けするほどだった。冷凍マウスを(さば)くのに少々手こずっていたが、回数を重ねれば大丈夫だろう。

 

 ヒナタがフクロウ騎士団の雛の世話係になった。

読んでいただき、ありがとうございます♪

次話からヒナタ視点に戻ります(∩ˊᵕˋ∩)・*

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ヘッダ
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