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12.結婚適齢期に驚きました


 運命の出会いを果たしたホーリーとナッツ、双子騎士のリーナとセリナ。団長とフードル、副団長とミミー、通訳兼お世話係の私が団長の執務室へ移動した。

 移動する間も、ホーリーとナッツは私と双子騎士を行ったり来たりとソワソワが止まらない。


「先程、ホーリーからリーナ、ナッツからセリナに相棒とする意思を感じたため、リーナとセリナには同行してもらいました」

「リーナ・アルデンです」

「セリナ・アルデンです」


 オリバー副団長の言葉にリーナとセリナが嬉しそうに赤毛のポニーテールを揺らす。姉がリーナ、妹がセリナだから姉コンビと妹コンビになるらしい。


「フクロウと相棒契約を希望する者には予め注意事項は伝えてありましたが、もう一度確認しますね」


 副団長がフクロウと契約する確認事項を伝えていく。フクロウ騎士団に所属するとお給金にフクロウ手当があるとか、フクロウのお世話の注意点など。私はフクロウ手当てがあるなんて初めて知ったからびっくりしてしまった。


「最後に、フクロウと契約すると、結婚相手は自分の意思だけではなく相棒のフクロウの了承が必要になります。婚約者やお付き合いされている方はいませんか?」

「ええ……っ!?」


 副団長の述べた注意事項に、私は驚きの声を上げる。


「おい」

「あっ、あの、す、すみません! びっくりしちゃって……」


 執務室の机に浅く腰をかけた団長にじろりと睨まれた。隣にいるから鬼な圧が半端ないです。こ、怖いいい。


「フクロウと相棒になるというのは、それだけ深い絆で結ばれるということだ」

「ああ、そうか。ヒナタに話してなかったかもね。僕の妻もミミーに認めてもらってから結婚してる。フクロウ騎士団の騎士で結婚してる者は、自身の相棒フクロウに認められてるんだよ」


 オリバー副団長がミミーを優しく撫でる。ふるりと羽をゆすったミミーが私を見た。


「ねえヒナタ、わたしとオリバーはずっと一緒にいるんだから嫌な人とは一緒に居たくないわよ」


 ミミーの言葉に納得していると、元気な声が執務室に響いた。


「あたしたち、婚約者もお付き合いしている方もいないです!」

「あたしたち結婚適齢期なので両親が気にしていたんです。でも、貧乏子沢山男爵家に二人分の持参金準備は厳しいので、寧ろよかったです」

「そうそう! 幼い弟と妹が五人いるので、二人で働けば実家に仕送りできると思って騎士になりましたからね」


 すごく若く見える二人の年齢が気になって思わず口がひらく。


「あの、二人はいくつなの?」

「あたしたちは十七歳です」

「……十七歳で結婚適齢期なんだ」


 日本の結婚平均年齢って三十歳を超えていたと思う。異世界の結婚事情に頭がくらくらする。なんかすごい。

 アルデン男爵家は、蒼い森や清らかな川が広がる自然豊かな土地で、王都から随分と離れているらしい。騎士団に入ったのも幼い弟妹を王都の貴族学園に通わせるためと聞いて感動してしまった。だって、二人はまだ十七歳。


「うう、偉すぎる……」


 日本人の感覚でいえば、高校生が家族のために働いているんだから涙腺はゆるくなる。この国なら普通だと言われても私の普通は違うから不可抗力だと思う。


「王都に行儀見習いという手もあったんですけど、野山を駆けまわっていたあたしたちには無理かなと思って」

「あたしたち、幼い頃からフクロウ騎士団に憧れていたんです。もし相棒契約できるなら精一杯がんばります!」


 赤毛のポニーテールをぴょんと揺らして話す二人。こんな頑張り屋で一生懸命な子たちならホーリーとナッツを任せても大丈夫だと思う。


「二人とも採よ、っ、!?」

「ほお、ヒナタ。いつからお前にそんな権限があったんだ?」

「……っ、ひえええ! な、なななないです!」


 口が勝手に採用と動こうとしたら横からとんでもない冷気が漂ってきた。これ絶対、団長の頭から角が生えてるやつ。隣を見れないまま、全力で首を横にぶんぶん振って否定した。


「先ほども言ったが、フクロウと相棒契約を結ぶことは、深い絆で結ばれるということだ。フクロウ騎士団として相棒契約を結ぶ以上、二人にはフクロウに相応しくなるために訓練を受けてもらう」

「「はい! 頑張ります!」」

「ああ、期待している。訓練が終わり次第、二人には相棒契約をしてもらうつもりだ」


 双子の元気な声が執務室に響く。若いってなんかまぶしくて素敵だなあと思っていたら、団長の視線が私に向けられた。反射的にびくっと肩が上がる。


「ヒナタ」

「っ、は、はい……っ!」

「リーナとセリナにホーリーとナッツの世話のやり方を教えてやれ」

「っ、はい!」


 ホーリーとナッツ、それからリーナとセリナの為にも一生懸命お世話のやり方を伝えようと気合いを入れる。

 

「ヒナタ、教育係なんだからそろそろマウスは薄目じゃなく捌けよ」

「っ、うう、はい〜〜!」


 赤ちゃんフクロウが大きくなってきてマウスやウズラを捌く回数は減ってきたけど、ゼロじゃない。うう、まだやっぱりちょっと苦手で薄目で捌いてるの、バレてた。


 でも、でも、なにも今ここでリーナとセリナの前でバラさなくていいのに! やっぱり団長は鬼だ!!

読んでいたたき、ありがとうございます♪

異世界の結婚適齢期ってめっちゃ早いですよね。

17才って高校生ですもんね;( ;´꒳`;):

ちなみにヒナタはオウル王国では行き遅れの年齢になりますが、双子たちと同じくらいに見られてます。

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恋愛作品を色々書いています୧꒰*´꒳`*꒱૭✧
よかったらのぞいてみてください♪
ヘッダ
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ヘッダ
 

― 新着の感想 ―
[良い点] ホーリーとナッツがいいこ達と相棒になれそうで良かった!( *´艸`) そして、相変わらずヒナタは鬼……違った、魔お……でもなく、団長に厳しくされてるのね。 これがいつ甘々になるのかしら、…
[良い点] フクロウと契約すると、結婚相手は自分の意思だけではなく相棒のフクロウの了承が必要になる……なんか大変そう! でも、ひなたちゃんならどんなフクロウさんとも仲良くなれそうだから、そこは安心です…
[良い点] 可愛いと健気がぎゅっぎゅしてて、本当に好きです(*´艸`*) 適齢期は世界や文化圏次第なのと、ヒナタちゃんが同じくらいに見られてることに異世界恋愛みを感じて、キュンとしました。 更新ありが…
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