表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こどものための寝物語  作者: 狩谷ニコ
1/2

パンダちゃんとレッサーパンダちゃん

とある動物園でのおはなしです。

パンダちゃんとレッサーパンダちゃんはお隣さん。

遊ぶのもいっしょ、ご飯を食べる時間もだいたいいっしょ。

柵越しにおしゃべりしたり、じゃれあったり。

そんなふたりは、いつも仲良し。


でも、だんだん檻の中でしか遊べないので飽きてきました。

「なにか面白いことないかなあ」

「ないかなあ」

「そうだ、動物園のお外に出てみよう」

「すごいすごい。大冒険だね」

ふたりはくすくす笑いながら、飼育員さんを待ちました。


飼育員さんがお掃除をしている隙を狙って、ぴゅーん!

ふたりは風のように駆けて、檻を抜け出しました。

「あ、パンダちゃん!」

「レッサーパンダちゃん!」

後ろから飼育員さんたちが声を上げますが、止まりません。

ふたりはどんどん走っていって、ついに動物園のお外に出れました。


「やったあ」

「やったね」

ふたりは大満足。

さっそくきょろきょろと周りを見てみます。

人間がいっぱい。

それから、両脇にはお店がずらり。

見たこともない景色。

それになんだか不思議な香りでいっぱいです。


「ここはどういうとこなのかしら」

パンダちゃんが不安そうに聞きます。

お姉さんのレッサーパンダちゃんは、すまして言いました。

「きっと、しょうてんがいってところよ。お店がいっぱいあって、人がいっぱいだもの」

「そうなの。だから人がいっぱいでだいじょうぶなのね」

パンダちゃんとレッサーパンダちゃんは笑って、それから商店街にはいっていきました。


商店街はいろんなお店でいっぱいです。

服屋さん、パン屋さん、アクセサリーを売ってるお店、靴屋さん、ご飯屋さん。

ふたりはきょろきょろしながら歩きます。

パンダちゃんとレッサーパンダちゃんがふたりだけで歩いているので、町のひとたちは不思議そうな顔でふたりを見ました。


「……なんだか、見られてるねえ」

「そうだねえ」

「どうしてかしら」

「やっぱり、この毛皮は目立つのかしら」


ふたりは首を傾げて自分たちを見つめました。

白と黒のからだのパンダちゃんと、しましましっぽのレッサーパンダちゃん。

人間の街を歩くにはどうも目立っていけません。


「どうすればいいかしら」

「うーん、そうだねえ」


ふたりは辺りを見回します。


「あっ、服屋さんだよ!」

「あっ、ほんとうだ!」

「お洋服で隠したら、きっと人間みたく見られるよ」

「そうしたら目立たないね」


ふたりはくすくす笑いながら、服屋さんに入っていきました。


服屋さんはいろんないろのお洋服でいっぱい。

「いらっしゃーい。あらあら、かわいいお客さん」

お店のひとがお店の奥から出てきて、そしてパンダちゃんとレッサーパンダちゃんを見てにこにこ笑いました。


「お洋服、くださいな」

「くださいな」


ふたりが言うと、お店のひとはにこにこ笑いました。


「ええ、ええ。気に入ったのがあったらどうぞお試しになって。さあ、どうぞ」


パンダちゃんとレッサーパンダちゃんはお店のなかをぐるっと回りました。

お店の中は素敵な色のお洋服がいっぱいです。

お洋服だけではありません。

かばんやクツ、帽子、それから小さなアクセサリーなんかも置いています。


「すてきすてき!」

「どれにしようかしら」


ふたりはうきうきとお洋服を選び始めました。


「わたし、これにきめた!」


レッサーパンダちゃんはそういって、花柄のワンピースを持ってきました。


「これならしっぽも隠れるわ」

「わあ、すてき。とっても似合ってる」


ふたりはにこにこ笑います。

パンダちゃんは迷いに迷って、緑のスカーフと帽子にしました。


「パンダちゃんも似合ってるよ」

「竹の色みたいできれいでしょう」

「ふたりとも、よくお似合いですよ」


お店のひとに褒められて、ふたりはにんまり。

そこへ、ばたんと扉が開きました。


「あら、お客さん。いらっしゃいませ」


お店の人が声をかけます。

扉のところには、パンダちゃんとレッサーパンダちゃんの飼育員さんが立っていました。


「あっ飼育員さん!」

「どうしたの?」


ふたりが首を傾げると、飼育員さんたちはにこにこ笑いました。


「お店のひとが電話で教えてくれたんだよ。パンダちゃんとレッサーパンダちゃんがここにいますよーって」

「そうなの?」

「そうなの」


お店の人はにこにこ笑っています。

でもパンダちゃんとレッサーパンダちゃんはがっかり。

これで冒険はおしまいです。


「じゃあお洋服も返さなくっちゃいけないの?」


レッサーパンダちゃんは悲しくなりました。

ふわふわのワンピースともお別れしなくちゃいけません。

パンダちゃんも、着ていた帽子をそっと脱ぎました。

ぽたんと涙が落ちます。


「だいじょうぶだよ。これは買って帰ろうね」


飼育員さんがにこにこ笑いながらお財布を出してくれました。

ふたりはそれを見て、嬉しくて笑いました。


ふたりはにこにこしながらお店を出てきました。

レッサーパンダちゃんは花柄のワンピースを着て、パンダちゃんは帽子とスカーフを着て、

おててを繋いで動物園に帰っていきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ