表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

4話 私はこのままぎゅっとしてても良いよ

「ねぇ、目覚ましかけてたけど、今日土曜日だよ?」


 俺と晴夏は布団を敷いたまま、その上でゴロゴロしていた。スマホをいじるでもなく、ただただボーッとしている。


「あれ? そうだっけ?」


「うん」


「俺の兄さんとかが小学生の頃は、土曜日も学校あったらしいよ。俺のときはなかったけど」


「え? 土曜日もあったの? 耐えられない」


「学校、嫌い?」


「嫌いじゃないけど、勉強は好きじゃない」


「まぁそれはわかるかも」


「なんで大学行ってるの? 高校卒業したらもう働けるよね? 勉強嫌いならどうして?」


「ん? なんかね。普通に働きたくないなーって。まだ遊んでたいなって思ってさ」


「ふーん」


「まだわかんないよ。小学生だったらまだたっぷり時間あるんだから」


「そのうちわかる?」


「多分ね」


「ふーん」


「昨日は遅くなってごめんな。待っててくれたのに」


「ううん。仕方ないよ」


「晴夏は今日どうするんだ?」


「どうするって、別になにも決めてないけど」


「俺も・・・・・・二度寝する?」


「良いね!」


 学校に行くつもりでかけた目覚ましのアラーム。まだ時刻は七時半だ。カーテンは一応閉めているが、隙間から差し込む日の光が部屋の中を明るくする。


 頭がボーッとしてきた。ちょっと左に目線をやると、制服姿の小学生女子が寝転んでいる。


 第三者目線から考えてみると、何のプレイかと思う。小学生のコスプレをした女の子が出張してくれるデリヘルか。貧乳で身長が低くて、童顔で。って探せばいると思う。


「ちょっとだけ良い?」


「なにを?」


 ぎゅっ。


 何か細くてすぐに折れてしまいそうな、柔らかい感触が俺の左腕に感じる。


 晴夏が俺の左腕に抱きついていたのだ。身体は横を向き、目線は俺の腰辺りを向けている。


 まだ許可はしてなかったんだけどな・・・・・・。


 この腕の柔らかさは本当に女の子なんだなと思わせる。そして、その腕の細さが子供だってことをちゃんとわからせてくれる。


 俺は何も言わなかった。少し女子を意識してしまっていて、ドキドキし始めていることは内緒だ。


 スヤスヤと眠りについている晴夏、俺は抑えきれない衝動にかられ、少し横を向いて、右手で晴夏を包み込んだ。


 これ以上野生化してはまずい。なんとかここで気持ちを抑えないといけない。それはわかっっているんだけど、理性が言うことを聞かないんだ。


「ありがと」


 晴夏の声が聞こえる。寝ていたはずだ。


「寝てたんじゃ・・・・・・」


「ううん。起きてた」


「そうか、ごめん」


「ううん。大丈夫、お兄ちゃんの腕ってなんだか安心する。もうちょっとこのままでいて」


 晴夏の口は俺の腕にに近いところまで着ていて、息がかかる度に少し温もりを感じる。


「あ、あぁ」


 変態だのエッチだの怒られるかと思った。


「ごめん。俺、晴夏のこと子供だと思ってた」


「え? 子供だけど・・・・・・」


「大人っぽいところもちゃんとあるんだなって」


「どういうとこ?」


「その・・・・・・腕の・・・・・・」


 この続きは言えるわけがなかった。変態お兄ちゃん扱いをされてしまう。


「腕?」


「いやー、あの」


 腕という言葉を聞かれてしまっていて、動揺した俺。


「一人で留守番できたりとかさ、料理もできるし」


「えっへん!」


 どこの漫画の小学生だと言わんばかりの自慢げに、微笑ましくなる俺。返事はしなかった。


 どこまで自分を女の子だと思ってるんだか微妙な年齢だ。一昨日のお風呂の前、昨日の朝の着替えの時、恥ずかしがった事実はあるが、今はこうして俺に抱きついている。心はまだまだ子供で、だけど、少しずつ膨らみかけている胸。見られてしまうことには恥ずかしさをやっぱり感じるんだろうか。服の上からでもなんとなくわかる。俗に言うまな板ではないことは。


 早いのか遅いのか知らないけど、そろそろ、ちゃんとカップのついたブラジャーを身につけてもいいんじゃないか。なにかのハプニングで胸に触れてしまうことがあったら、もう俺は自分を抑えることができるか、不安だ。


 別にロリコンというわけではないが、実際、かわいらしい。いいや、女としてかわいいと言って良い。


 落ち着け俺。


「それで、今日なにする?」



「私はこのままぎゅっとしてても良いよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ