ギルド創設 ヴァーミリオン前編
「で、その相手はどんな奴なんだ?」
「その男は、ダンクという名前でジャックナイフという偽ルドに所属している。」
「ジャックナイフ!?」
「先生は、知っているんですか?」
「ええ、何年も前に大量殺人を犯しギルド組合によって解散させられたと聞いていたのだけど。」
「解散なんかしちゃいねえよ。今は、廃工場に拠点を置いている。」
「そうか、なら今すぐにその廃工場に向かうぞ。」
「準備とかしなくていいのか?相手はギルドだ、全員魔法を使ってくるんだぞ。」
確かに魔法使い相手の実戦は初めてだ。が先生との修業で自信も前よりはついた。きっと今の俺たちなら勝てる。
「私たちは、大丈夫よ。」
「そうか、俺は何年も前から準備はできている。」
「なら行こうか。」
そういって俺たちは、換金所から出発した。ジャックナイフの拠点である廃工場は、中心部から少し離れた場所にある。徒歩で行ける距離だが、誰も近づくような場所ではない。周りにも廃工場ばかりで、危険なうえ近づく理由がないからな。そして、俺たちは中心部を抜けて、廃工場のある北東に向かって歩いて行った。誰もいない道をひたすら歩いていくと大きな廃工場が見えた。
「あれが、ジャックナイフの拠点か?」
「ああ、間違いねえ。この目で何度か見ているからな。」
「しかしこんな汚い場所に拠点を置いているとは。」
「それは仕方ないわよ。偽ルドには誰も土地を売ったり貸したりすることはないからね。」
かなりぼろぼろの廃工場だが、よくこんなところに住めるよな。穴が開いているし、電気とか通っているのだろうか。まあそんなことはおいておいて俺たちは廃工場の扉の前に来た。大きな両開きの扉が俺たちの前にそびえ立っている。
「準備はいいか?みんな。」
「当然よね。」 「当たり前だ。」
「よし、ならヴァーミリオンそっちの扉は任せたぜ?」
「任された。」
そういうと俺たちは一枚づつ扉を蹴破って侵入した。
「おい、今の何の音だ?」
「誰だ、俺たちにケンカ売ってきた馬鹿どもは。」
いかにもガラの悪そうな男たちが五十人くらいいた。
「どうも、そりゃあ俺たちだ。ダンクって男知らねえか?」
「その方は、俺たちのリーダーだが、合わせるわけないだろう?」
「私たち、その男にしか興味ないのよね…」
「なんだ?メス、よく見りゃいい顔してんじゃねえか。体はタイプじゃねえけどよ。」
そういわれると先生は、その男を一瞬で切り裂いて見せた。
「ぐわぁぁぁぁぁあああああああああ。いてえぇぇ。いてえぇぇぇよぉぉぉ。」
「貴様何しやがった!!」
「剣筋が見えなかったんだが…」
先生の一撃で戦闘が始まった。相手はいろんな魔法を使ってくる。水や火、風などの魔法がとびかかってくる。俺は、双剣を繰り出し応戦している。先生も自慢の愛刀で一瞬にして相手をなぎ倒している。ヴァーミリオンも拳や脚で敵を倒していた。
「やるな。ヴァーミリオン」
「魔法使いにくらべりゃ大した事ねえよ。」
「何言ってんだ。魔法使い相手に戦えているじゃないか。」
「雑魚と戦えても自慢にはなんねえだろ。」
確かに、ヴァーミリオンの言うとおりだ。魔法使いだが、強力な魔法は誰も持ってはいなさそうだ。こんなことをしている間にも、先生がかなりの人数を倒してくれていた。しかし人数が多い。五十人かと思っていたのだがどんどん増えてきている。これじゃきりがないな。
「これじゃ、きりがない。」
「間違いねえな。ちょっと敵が多すぎるな。腐ってもギルドというわけか。」
「きっとこの奥にダンクはいるぞ。ヴァーミリオンお前先に行け。」
「何言ってるんだ。三人でも苦戦してるんだぞ。」
「心配すんな。それにこれは、お前自身で蹴りをつけるべきだ。」
「…」
「行って来いよ!」
「悪いな、じゃあ行かせてもらうぜ。」
「ああ、一発ぶち込んで来い。」
そういうと、ヴァーミリオンは相手を倒しながらどんどん前に進んでいった。このことを先生にも報告しなければ。戦闘において、報連相は大切だ。敵を倒しつつ先生のほうへ向かった。
「先生。ヴァーミリオンを先に行かせました。」
「あなた、本気で言ってるの?」
「すいません。勝手な判断で行かせてしまいました。」
「あの子がダンクって男に勝てると本当に思ったの??」
「いえ、きっと負けます。」
「ならどうしてよ!!」
先生のこんな顔は初めて見た。大切な奴だから、心配なのだろう。そして、俺の選択に納得いってないこともわかる。もしかしたら、ダンクの元にもたどり着けないかもしれない。でも、行かせた理由は。
「俺たちがダンクという男を倒すのは簡単です。でもそれじゃ、ヴァーミリオンは報われません。一発でも殴ればきっと、気分は今よりも楽になれると思ったんです。それにたとえ負けても死なせるつもりはありません。」
「確かに一理あるわ。でも死なせない根拠はあるの?」
「根拠はないです。いかにここを早く突破できるか。それにかかっていると思います。」
「それなら、この雑魚をさっさと片づけるわよ!」
「はい!」
一方ヴァーミリオンは何とか、ダンクのいる部屋の前まで来ていた。
「この奥にあいつがいる。五年前俺の幸せを奪っていったあの男が。みんな、あの時はすまねえ、父として、夫として何もしてあげられなかった。こんなことでしかお前たちに償えないことを許してくれ。」
ヴァーミリオンは扉を破壊し、奥の部屋に入った。
次回、決着
第六話も読んでいただきありがとうございます!翔と申します。かけると読んでください。まずは昨日休んでしまい申し訳ありません。仕事の都合で書く時間が取れませんでした。毎日投稿をしているわけではないですが、書ける日はどんどん書いていくのでよろしくお願いします。戦闘を前編と後編に分けるつもりはなかったのですが長くなりそうだったので分けさせていただきました。今日は、キャラクター紹介は休みです。次回はリセの由来を書くつもりです。では、次回もよろしくお願いいたします!