ギルド創設 換金処
俺たちは、初依頼を終えた後、二週間ほどでかなりの依頼をこなしていた。基本的に俺たちが受けられる仕事といえば。簡単な仕事ばかりだ。例えば、逃げた犬の捕獲であったり、畑の草むしりをしたり、魔法が使えなくてもやれるような仕事だ。まあ、仮ギルドならこんなもんだろう。しかし、かなりの依頼をこなした俺たちは、ギルド創設の目標金額にかなり近づいていた。
「かなりたまったわね!これなら審査に通り次第すぐに、ギルドを創設できそうね!」
「はい。おかげさまで。こんなに早くたまるとは思ってませんでした。」
「換金したのが大きかったわ。」
「そうですね。そういえばさっきレイディの依頼中にとった鉱石を換金しに行きませんか。」
「あ、忘れてた。急いで換金してきましょ!」
初依頼を受けて、レイディに気に入られた俺たちは、レイディの様々な依頼を受けた。レイディの護衛任務や、レイディの家庭教師なんかもした。今回は、登山をしてみたいというので山を登っていたのだ。レイディとの登山は楽ではない。荷物なんかは全部俺が持ったんだ。護衛だって、あいつがケンカを売らなければ何もなく、終わっただろうに。家庭教師も楽ではない。先生が、魔法をつきっきりで一日教え、俺の魔法も見せたりしたのだが、まあ理解してくれない。先生の授業を理解してないのはよっぽど頭が悪いと見た。今日は登山のついでに鉱石を取ってきたのだ。
そして、俺たちは換金所に向かった。換金所はグロリアの中心部にある小さな店にいつも行っている。ギルド組合の中では少し有名らしい。ギルド組合も換金は行っている。基本的にほとんどの魔法使いがギルド組合で換金を行っている。が、基本的に換金をしてくれるが、なんでも換金するわけではない。雑草とか、ガラクタなんかは当然換金してくれない。しかし、俺たちが換金してもらっている店は、草むしりで取った大量の雑草を換金してくれた。こんなことしてくれる換金所なんてないらしい。そういうところがギルド組合で少し有名になったのだろう。ギルド組合から、歩いて五分くらいのところの細道の奥にある換金所についた。
「また来たのか。」
「おう、顔覚えてたんだな。」
「ここに来る客はそう多くない。基本的にギルド組合の関係者ばかりだ。」
「確かに。ギルド組合では、有名だけど、ギルド間では有名にならないわよね。」
「当たり前だ。そもそも大きな換金処にするつもりはない。これでも一応儲かっているんだよ。」
急に出てきたが、この男はこの換金所を一人で切盛りしているヴァーミリオンだ。普段は、めんどくさそうにしているが、仕事はできる男のようだ。今自然に話していたように見えたか?実は初めて話しかけられた。内心俺もあせったが、話せるもんだな。
「今回は、この鉱石を頼むよ。」
「これは金属系の鉱石だな。ならこの額で買い取ろう。」
「よし、頼んだ。」
「しかしまあ、鉱石っていろんな種類があるのによく一瞬でわかるのね。」
「鑑定も仕事のうちだ、鉱石で真っ黒っていうのは、限られてくる。この辺で取ったなら間違いなく金属系だ。一応武器なんかにも使えるんだ。」
普通の換金所では、鑑定係が別にいる。長年やっていても、こんな技術ふつうは身につかない相当勉強をしてきたのだろう。
「お前たちは、ギルド組合の関係者ではないだろう?見た感じギルドで働いている魔法使いってところか。」
先生はギルド関係者なのだがここは、黙っておこう。
「ああ、よくわかったな。」
「正式には、仮ギルドなんだけどね!」
「ギルド創設のために金が必要ってわけか。」
「そうそう、でもなんでギルド組合じゃないってわかったの?」
「俺は、長年ここで働いている。持ってくるもので大体わかるんだよ。まず組合のものが鉱石や雑草なんかはもってこねえ。」
なるほどな。確かに依頼を受ける俺たちと違って、ギルド組合が素材アイテムを売るなんてめったにないだろう。めんどくさそうにしているが観察力もしっかりしている。
「しかし、一人で切盛りしてるなんて大変だな。家族とか手伝ってくれないのか?」
この俺の質問を聞いたヴァーミリオンの顔つきがあからさまに変わった。
「い、いや、すまねぇ。家庭のことまで深入りしすぎてしまったな。どうしても聞きたかったとかじゃないんだ。聞かなかったことにしてくれ。」
「そうよ、いろいろあるんだから、言いたくないことだってあるわよ。」
「いやいいんだ。話すよ。」
「別に無理しなくていいんだぞ。悪いのは…」
「しっ… ここは黙って聞きましょ。」
「わ、わかりました。」
「俺は、魔法使いが嫌いだ。もともとは嫌いとかはなかったんだがな。俺は八年前、十八歳の時にある女性と結婚したんだ。子供にも恵まれ三人で何不自由なく暮らしていた。しかし五年前のある日事件が起こった。急に俺たちの家に一人の男が現れた。そして、その男は俺たちの家庭を崩壊させた。俺は何もできなかった。まずは妻が殺された。一瞬だったよ、一発殴っただけで妻は血だらけで倒れていた。そのまま、娘も殺された。娘も一瞬で殴り殺された。本当に一瞬で家族を失った。屈辱的に俺だけの命だけ見逃し、悔しかったら俺を殴ってみろそう言い残し、男は去っていった。俺は一瞬のことで現実を受け入れられなかった。そして、数日がたって俺はそいつのありかを探った。見つかるまでは魔法が出るまで修業を続けた。あいつを殴り殺すため独学だが武術を毎日修業した。が何も起きなかった。今日まで魔法が出ることはなかった。だが最近ようやくその男の居場所を掴んだ。準備をして近いうち乗り込むつもりだったんだよ。こういうわけで、俺には家族はいない。わかったなら今日は帰ってくれ。」
「なんてひどい奴なの?」
「全くだ。だがこんな話を聞くと帰られなくなってしまった。」
「え!?なんでよ!そっとしておきましょ?」
「その女の言うとおりだ。俺は忙しい帰ってくれ。」
「いやだ。お前死ぬつもりだろう。」
「…」
「そ、そんなことはないんじゃないかな??」
「いや、その男の言う通りだ。俺一人だけで勝てるなんて自惚れちゃいねえよ。」
「お前が俺たちにこんなこと話すってことはもう先生もわかってますよね。」
「助けを求めてる?」
流石は先生だ、まあ、俺が感じたなら先生も分かっていて当然だな。
「いや話したのはお前らが聞いてきたからであって。」
「俺たちは、無理してまで聞きたいとは言ってないぞ。きっと心の中で求めていたんだよ。」
「いや、そうとらえてもいいが魔法使いには、助けを求めない。言っただろう、魔法使いは嫌いだってね。」
「でもジョーンズ、確かにこの話はあまり乗らないほうがいいわよ。偽ルドであっても、ギルド同士の争いは禁止されているわ。」
「そうだ、この女の言っているだろう?もうほっといてくれねえかな。」
「お前には、目の前で人が死のうとしてるやつを見捨てるような奴に俺たちは見えているのか?」
「いや、そんなことは知らねえよ。でも初めて話してもわかったぞ。お前は俺の嫌いなタイプだってな。」
「それは悲しいな。だが、ギルドの仲間が困ってんだ。仲間を見捨てるギルドがどこにあるんだよ!!」
「アハハ!そういうことなら行きましょ!!仲間のためならルールなんてどうでもいいわ!!」
「何勝手にギルドに入れてんだ。入るなんて言った覚えはねえよ。俺は魔法を使えないしな。ギルドにいても邪魔なだけだ。」
「そんなこと関係ねぇ!居場所は分かってんだよな?なら今すぐそこに乗り込むぞ!!」
「魔法が使えないなんて気にしなくていいのよ!」
「もう勝手にしてくれ。」
「そうか。なら勝手に暴れさせてもらうぞ。そのくそ魔法使いをぶっ飛ばしに行くぞ!!」
「おー!!」 「…」
次回、乗り込みます。
第五話も見ていただいてありがとうございます!今日は全く話に関係ないですが、筋肉痛で文字うつのとても大変でした…第五話の新キャラクターヴァーミリオン。彼も壮絶な過去を持っていますねー。初めての武術使い。果たして仲間になるのでしょうか!?今回、紹介するキャラクターの名前の由来は先生です。先生の名前は、アルティといいます。ジョーンズは、先生と呼んでいるので覚えてない人もいたのでは…笑先生は、私の中では本当に強いイメージで作られました。よって、“究極”英語にするとULTIMATEそこから、アルティだけを取りました。うん。ネーミングセンス壊滅的。では今回はこの辺で。次回もよろしくお願いします!