Il mio nome e`Gasparo Tony Dinozzo
二話
実質三話
「待たせたね。」そう言って部屋に入ってきたのが大家の主人である老婆であった。老婆は向かい合わせたイージーチェアに座り頷く。「あんたが、トニーかい?」どうやら動作と言葉が同期しないタイプのばーさんのようだ。
「ああ、あの、トニー・ディノッゾですよろしく。」
「あんた、イタリア系かい?人誑しなのね。私はここに嫁ぐ前はウェールズに住んでたんだよ。」
「僕はナポリです、英国にいたんですね。それよりあの女中の格好はなんです?」
「女中?ありゃ女中じゃあないよ、うちの嫁さ。息子が死んでね独り身でここにいると言い寄られるだろ?」
そんなことはない、、喉まで出た。
「そんな時にな、あんたの婆さんと肉屋で話しとったらいい歳した孫がおるというからな。」
「待ってください、僕、縁談で呼ばれたんですか?」
「それ以外にこの私がイタリア男を家に上げると思うんか?」
「うちの嫁のマリッサだ。あはっ、あんたの嫁ね、ちとはながでかいがきれえな青目だからさ。気にすんな?」
「いや、あの夫人、僕は縁談で来たんじゃないんですよ!ちょっと
えっと、マリッサさんなんとか言ってやってください。人違いなんです。」
すると老婆は言う。
「マリッサはね、喋らんのよ。舌さないからね」
?そんなはずはない。なんなら入り口で話したじゃないか。ーーー
読んでくれてありがとう✨