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そして、腐蝕は地獄に――  作者: ヰ島シマ
第二章 帰郷
21/103

21.■■■■■■

 十月十八日。

 今日はコデリーの誕生日です。

 色んな人が屋敷に来てお祝いしてくれます。

 でも何日も前から、”お前は人前に出るな”と言われています。

 ”病気だということにしておくから、今日一日部屋から出てくるな”と、お母様は朝から目をつり上げて怒鳴っていかれました。

 本当は病気なんて一つも抱えていないけれど、お祝いの参加者に不出来な息子を見せたくなかったんだと思います。

 絶対に部屋から出ないと約束しているのに、お母様は扉の外側から鍵をかけていかれました。

 食事も届かないので、お父様から出された課題を考えることにしました。

 課題は、自分の至らないところを二十個見つけるというものです。

 昨日までは十九個だったけど、粗相(そそう)をしてしまったので一つ増えました。

 お前は駄目な子だから、自分の駄目なところを自覚しろと言われました。

 発表した時に一つでも答えが足りないと罰が当たります。

 罰はいやだ。

 【今日の日記は終わり】




 十一月二十日。

 お兄様にもっと堂々としろと言われました。

 お前は自信がなさすぎるって。

 でも、どうすれば堂々とできるんですか?

 聞いてもお兄様は答えてくれませんでした。

 試しにお母様に仕置きされた時に反抗してみました。

 いつもの倍、怒られました。

 もうお兄様の言うことは信じない。

 【今日の日記は終わり】



 

 十一月二十五日。

 コデリーに髪を燃やされた。

 雪が降ってて寒いから温めてあげるって……。

 最近火を自由に操れるようになったとお父様が褒めていたけれど、まさか実の兄に向かって放つなんて……酷すぎる。

 コデリーと使用人は、熱い熱いと言って炎を振り払いながら泣いてる自分を見て笑っていた。

 通り掛かりのお兄様は目が合ったのに助けてくれなかった。

 ここは地獄だ。

 誰も助けてくれない。

 誰か助けて。

 【今日の日記は終わり】




 十一月二十九日。

 反抗した日からお母様は余計に怖くなった。

 夕方の鞭打(むちう)ちで肩の肉がめくれて骨が見えた。

 でも、誰もお医者様を呼んでくれない。

 お兄様やコデリーがすり傷一つでも作れば慌てて呼び出すのに、どうして?

 お父様からは”能がないくせにデカい態度を取った罰だ”と、さらにお叱りを受けた。

 体罰をやめてと言うのがデカい態度?

 すごく痛かったけど、何とか自分で手当てした。

 こんなに酷い怪我なのに、明日も剣や魔術の稽古(けいこ)に参加しなければならない。

 最近、首を吊って楽になろうかと考えることがある。

 身も心も苦しいのなら、いっそ……。

 【今日の日記は終わり】




 十二月五日。

 もう嫌だ。

 くそだ。

 くそくそくそくそ何もかもくそ。

 みんな死ねばいい。

 どうして一人だけこんな目に遭わなきゃいけない?

 日記をつけるのも嫌になってきた。

 日記をつけて何になる?

 こんなもの、振り返ったって(みじ)めなだけだ。

 【今日の日記は終わり(ずっと終わり。これが最後)】




 一月一日(最高に幸せな年明け!)

 新年の挨拶をしに司祭様の所へ向かったら聖魔術の使い手だと言われた!!

 これはとっても珍しいことなんだって!!

 建国以来この国で才を持った者が現れるのは初めてなんだって、司祭様が驚いてた!!

 あのお父様ですら!!

 そしてお父様が初めて、初めて褒めてくださった!!

 たぶん生まれて初めて!!

 人生で一番最高な日だ!!

 聖魔術は文献が少ないから、今度司祭様が本を取り寄せて調べて家まで直々に教えに来てくれるらしい!!

 それまではとにかく、もっと多くの古代語を勉強しておかなきゃ!!

 明日からもっともっと勉強を頑張る!!

 【今日の日記は終わり!】

 



 三月……。

 【やめる】




 五月一二日。

 この人生に幕を閉じる。

 ついに、いいことはなかった。

 全て捨てる。

 未練はない。

 明日で終わる。

 【さよなら】



















 【日記は燃やした】




 【家と一緒に】

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