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あー。私ってやっぱり主人公なんだなって、心底思いました。  作者: 一子
第三章 主人公は、私ではありません。
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主人公は、私です。


 (わたくし)はアシュリーの屋敷を出ると、学校の寮の自分の部屋へと急ぎました。何もしていないとつい色々なことを考えてしまいます。



 やだやだ。


 はやく、仕事しよ。



 私が馬車置き場から部屋へ向かっていると、寮の入口がなぜか物々しい雰囲気に包まれていました。人だかりができています。学生ではありません。豪華ではありませんが、なんとなくキラキラ輝いている集団でした。



 何か、あったのでしょうか。



 私が家政婦根性丸出しで観察していると、なぜか、その人だかりがこちらに向かってきました。


 私が驚いていると、その中心に、王子がいました。


 その中心に、王子がいました。



 大事なことなので、二度、言いました。バーゼル第三王子です。


 私は急いで道をあけ、道の端で頭を下げました。そしてため息をつきました。なんというタイミングでしょうか。こんなところで、偶然居合わせてしまうなんて。



 どうか、私に気づかないまま、行ってください。


 私が祈りながら様子を窺っていると、バーゼル王子が私の方へ近づいてきました。


 なぜでしょうか。私は大好きな政変特集のことを思い出し、混乱した心と頭を落ち着けました。


 大丈夫。


 私は、笑える。



 もしかしたら、再婚の報告を、前妻である私にしにきたのでしょうか。


 バーゼル王子は、私の目の前で止まりました。頭を下げている私の目には、王子の手入れの行き届いた革靴だけが見えています。



「久しぶりだね。フローレンス。頭を上げてくれないか。」


 私は仕方がなく、お辞儀をしてから頭を上げました。


 久しぶりに見た王子は、四年前よりも痩せて、顔色も良くない、表情も固い、不幸そうな青年でした。



「仕事は、どう。」


 なんと、世間話をはじめようというのでしょうか、私は王子の視線をよけ頭を下げました。


「順調でございます。」


 私が俯いたまま答えると、王子が少し間を取ってまた質問してきました。


「体調は。風邪など、ひいてない。」


 一体、王子の目的は何なのでしょうか。私は不思議で、けれどなるべくはやく会話を終わらせようと、素っ気なく答えました。


「はい。お陰さまで。お心遣い、ありがとうございます。」



 会話を続ける気がない私に、王子は少し戸惑ったようです。そのまま口を閉じました。私は王子の沈黙に、更に首を傾げました。再婚の報告なら、そう言えばいいのに。


 どうしたのでしょうか。


 私は俯いたまま、気まずい沈黙に耐えられず、仕方がなく、自分からその話を出しました。


「バーゼル王子。良縁に、恵まれたそうですね。まことに、おめでとうございます。」


 私は顔をあげ、真っ直ぐ王子の瞳を見つめ、柔らかく、微笑みました。


 王子がなぜか驚いて、慌てています。私はその様子が可愛らしくて、また微笑んでしまいました。



 私を不幸そうな瞳で見下ろしている王子が、急に何かを瞳に灯し、私の両手を握ってきました。


「フローレンス。君を、愛している。俺と一緒に行こう。」


 真っ赤に染まった王子の頬とミルクティ色の真剣な瞳を見て、私にも四年前の感覚がよみがえってきました。私の心臓がドキリと跳ね、頬が熱く火照り、心が王子へと向きました。


 私は正直な自分の体に、笑ってしまいました。四年間会っていなくても、私はジルが好きなのでしょうか。


 好きなのですね。


 私は微笑みました。


 嬉しいです。とても。



盛り上がってきましたー。


揺れるフローレンスをご堪能下さいー。

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