主人公は、私ですね。
私は、急いで頭を振りました。
「いえ、不愉快だなんてそんなことはありません。なぜ笑われているのかが分からなかったので、驚いてしまっただけです。」
彼は頷いて、私のことをじっくりと観察すると、考え込みました。それから、おもむろに、口を開きました。今までの穏やかさとは違う、好奇心の塊のようなその表情に、私は一瞬身構えて、続く言葉を待ちました。
「面白いですか。政変特集は。」
あ、そっち。
そちらですか。興味があるのは、私ではなくて、政変特集のほうですか。
先ほどまで、彼の姿や仕草にときめいて蝶のようにフワフワ浮かれていた私は、彼のたった一言で、一気に地に叩き落とされました。
けれど、私は少しやさぐれた心を隠して、笑顔を作りました。
「はい、とても。私は、ここに出てくる方々の気持ちや事情を想像しながら、いつも読んでいます。とても、面白いです。」
家の中の秘密を見るのが大好きな家政婦が大好きな私。登場人物達の動きや持ち物の変化で、何が起きているのか、起きていくのか、推理するのです。
「想像しながら、ですか。例えば、どの様に。」
私達は図書館を出て外のベンチに腰掛けると、二百年前の政変について話し合いました。私は書かれている事実と登場人物の状況や時代背景なども参考に、沢山の推測をしました。
私は、まんが大好き、ゲーム大好き、テレビ大好き、ラノベ大好き、ネット諸々、大好き人間でした。日本を謳歌していました。最高の国でした。だから腐るほど、無駄な知識を持っています。
「なるほど。貴女様の考察は素晴らしいですね。」
私の話に感心している彼。
違う違う。私の考察ではありません。私はただ、知っているだけ。沢山のまんがや小説やテレビが教えてくれたことを、話しているだけです。私自身の考察など、一つもありません。
熱心な彼につられて、私も、つい熱くなっしまいました。
ごめんなさい。私チートです。
まあいいか。バレないし。




