表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/92

主人公は、私です、もっちろん。


 何かが、おかしいです。ジルの、扱いが、おかしいです。



 従者がいない。


 部屋が質素。


 公務がない。



 ジルと婚約した私は、誰かに紹介されることもなく、ひっそりと来客用の部屋を与えられ、結婚するまではそこで過ごすよう言われました。学校には、馬車で、ここから通っています。



 ちなみに私にも、公務はありません。


 私はいったい、王宮で何をすればいいのでしょう。



 あ、もちろん。フローレンスは、王宮の中を探索して、名所巡りをする予定です。かの有名な初代国王とその息子が決闘をして、その際にできた傷が残っていると言われている庭の柱を、今日は見に行く予定です。その後は、図書室で本を漁る予定です。憧れの、王宮の図書室です。ああ、楽しみすぎる。涎。よだれ。



 けれど、私がフローレンスではなく、貴族の娘だとしたら、一体、何をしながら日々を過ごせばいいのでしょうか。


 あ、コネ作りか。


 もしくは、美容に時間をかけるのでしょうか。



 けれど、私には、お金がありません。お金がない場合は、どうすればいいのでしょうか。ジルに、貰うのでしょうか。難しい問題ですね。だって、多分、ジルも、お金を持っていないのです。



 王宮は、力関係がはっきりしています。



 例えば、今日は天気が良いので紅茶を庭で、と、考えたとします。



 誰も庭にいなければ、お洒落をしてそこでお茶会をはじめて良いのですが、私達には準備をしてくれる使用人がいないので、そもそも無理です。


 では、王の側室がお茶会をはじめたとします。そこに王妃が来れば、当然、場所を譲ります。その準備や片付けは、全て、従者がするのです。


 買物の支払いも、王族はせず、従者がします。


 だから、従者を持たないジルは、何もできないのです。



 これは、明らかに、誰かの、陰謀です。


 おかしいのは、国王一家です。


 いえ、王妃、でしょうか。



 ジルは、ひとりぼっちです。こんなにも人が沢山いる王宮の中で、たった一人で、生きてきたのでしょうか。




 私は考え事をしながら長い廊下を歩いて、王宮の図書室にたどり着きました。



 何かジルに関する資料を探そうと、本棚を物色していると、最近の王族の行動履歴が記された資料がありました。


 私はそれを手に取り、けれど、開くことができません。


 ここに書いてあるジルを見て、私はどうするのでしょうか。私はジルが好きなので、ジルのことは全て知りたい。この資料を読みたい。今すぐ、読みたいです。


 けれど。私は、私が見ているジルを、信じるべきではありませんか。ここに何が書いてあろうと、私はジル本人の言葉を、行動を、信じるべきではありませんか。



 私は資料を閉じ、棚に戻しました。




 初代国王の資料を探そう。そうだ、そうしよう。



「フローレンス様、ですか。」


 その時、突然、後ろから声をかけられました。私は振り向くと、はいと答え、相手を確認しました。



 あ。あああ。


 ああ。



「僕、この国の第五王子です。はじめまして。」



 はじめてじゃないよ。はじめて、じゃない。



 第五王子。




 私が創った、子。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ