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主人公は、dではない。

 

 王太子ディミトリ編です。


「エミリー。わたしは、そのネックレスの色はその装いには合わないと、話したと思うが。」


 俺は眼前に佇むエミリーに向かい微苦笑した。



 俺の瞳と同色の宝石をネックレスに使えるのは、俺の恋人只一人だ。前評判が高く美しく聡明だと噂されていたエミリーには期待していたが、蓋を開けてみれば真っ赤な髪の毛と浅黒い肌を持つ小賢しい下品な女だった。失望した。


 そんな女が、俺の瞳の色の宝石を身に付けるなど不愉快だ。美しい金髪碧眼の彼女こそが美しい俺に相応しい。



 エミリーが、無垢な少女の様に微笑んだ。


「ええ、聞いておりましたけれど、貴方の色を身につけたかったのですわ。ダメでしたか。」


 上目遣いで見上げた女に、俺は内心で唾を吐いた。下品極まりない。下心が透けて見える行為に俺は辟易しつつ笑顔を浮かべた。


「気持ちはとても有り難いが、エミリーの赤には、青より映える色がある。今度、私が用意しよう。」


 俺は正装し真っ赤な髪を結い上げたエミリーの耳を撫でた。エミリーが俺の手に手を添え可愛らしく目を細め微笑んだ。



 この女は、おかしい。俺の魅力になびかないなど、目が腐っているのか。



「ぜひ、貴方と同じ青を身につけたいわ。」



 鼻にかかった声がかんに障る。この女は、俺の言葉を聞き流し、我を通すつもりか。



「君がそこまで望むなら、私と同じ青を、贈ろう。」





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