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主人公は、私ですので、発明家になりました。後


 こんばんは、フローレンスです★


 剣の名前は、まだ悩み中です。




「ダメだ。あの名前聞いちゃった後に、もっと良い名前なんか、浮かばないよ。」


 私が諦めつつ、ゴロゴロしながらロボを撫でていると、ジルが垂れていた髪の毛を後ろで結び、胡座をかいて、何かを考えはじめました。


 あれは、ジルが本気を出すときのスタイルです。



 しばらくの間、ジルは考え込んでいましたが、髪をほどくと私の方を見て、寝転がってゴロゴロしている私の顔の真上に、革の鎧をかかげました。ついでに、ジルが私の頬に唇を落とすと、ミルクティのように甘い髪が、ジルから私の方へ垂れてきて、私はくすぐったくて笑ってしまいました。


 ジルがミルクティのように甘い瞳を細めて、私を眺めています。


 ジルは甘い。本当に、甘くて、大好きです。



 なになに。


 

 惑わされない剣 参上。

 もう俺は、惑わない。

 必ずお前の元に、帰るぜ。


 夜露死苦



 はい。そうですか。


 なるほど。


 私は見上げていた革の鎧をガン見してから、立ち上がり、捨てました。粗大ゴミですね★。



 さあ、寝ましょう!





 ジルが、ため息をつきました。


「あの色鉛筆、本当に、大変なんだ、作るのが。」



 私は珍しく苛々としているジルを見て、首を傾げました。何か、あの色鉛筆に思い入れでもあるのでしょうか。

 

 私がそう尋ねると、ジルは一瞬の間の後、頭を振りました。



「魔術師の色を、物に入れるのは簡単じゃない。」


 私は頷いて、ジルの髪に触れました。甘いミルクティ色の髪の毛と、私を見つめる甘いミルクティ色の瞳。


「私、ジルの髪の毛と瞳、好きだな。」


 私がジルの髪を撫でながら呟くと、ジルが驚いて、息を飲みました。



 私は、首を傾げました。一体、何に驚いているのでしょう。


「この、土色を。」


 私の両肩を両手で掴み、私の瞳を覗き込んで尋ねてきたジルに、私は頷きました。


「うん。ミルクティ色で、甘くて、好き。」


 私の言葉に、ジルの眉間に皺が寄って、目線が下の方へ向きました。泣いているのでしょうか。私は心配になって、ジルの手に手を重ねました。



「王族は、金髪と青い眼が基本だ。髪は薄ければ薄いほど美しく、瞳は濃ければ濃いほど美しい。王太子、ディミトリのように。俺は、この髪と瞳で皆に蔑まれ、国王から嫌われてきた。」


 知っています。


 私も王族の端くれです。王族が金髪碧眼を愛していることは、百も承知です。



 ですが、それが、どうかしましたか。


「そんなの、どうでもいいよ。確かに、金髪碧眼はきれいだけど、だから何なの。ジルの髪の毛と瞳は、魔法の力が強い証だし、もし魔法が使えなかったとしても、何も変わらない。私は何色でも、ジルが、好きだよ。」


 私は、俯いて震えているジルを抱きしめました。とめどなく震える体が、いつもより小さく感じられて、私まで、泣きそうです。


「泣かないで。ジルはそんな人達の言葉に、わざわざ傷つかなくていいんだよ。そんな人達の言葉は聞かなくていい。私の言葉を聞いて、お願い。」


 私が懇願すると、ジルがゆっくり、顔をあげました。私はジルの頬に頬をすりよせ、彼の首に腕をまわして抱きつきました。



 いつも優しく微笑んでいる、大人っぽいジルが好き。けれど、子供みたいにはしゃいでロボを作っているジルも、無表情で魔法を使うジルも、切羽詰まってアホな顔をしているジルも、私は好きです。



 髪の毛が、茶色でも金色でも紫色でもいい。


 なんでもいいのです。ジルならば。



「ジル。私、ジルが思ってるよりもずっと、ジルのことが好きだと思う。」


 ジルが息を飲みました。その振動が、私にまで伝わってきます。



「私は絶対に裏切らない。いつも、ジルといる。ずっと。」


 私の決意に対して、ジルがどのような表情をしたのか、彼に抱きついている私には見えませんでした。



 けれど。きっと、ジルは微笑んでいるはず。



 ねぇ、そうでしょう。




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