主人公は、私ではありませんが、きっとこれでいいのでしょう。
私はやはり、主人公なのでしょう。
コリーとつきあいはじめてから、面倒なことが次々と解決されています。王太子との婚約、アシュリーとの話し合い、コリーの働き先、まるで誰かがどこかから糸を引いているのではと思える程、私の道が、開けてきました。
これで、良かったのですね。
ジルと少しでも繋がりを持っていれば、私はコリーと全力で向き合えなかったことでしょう。ジルの優しい笑顔は、やはり優しさでできていたのでしょうか。私のために、離れてくれたのでしょうか。
私は頭を振りました。ダメです。ジルのことは、もう、考えてはいけません。
さあ、今日は何を食べようかな。ここの食堂は味が良いのです。
私が友人達とテーブルを囲んでいると、後ろの方で何やら怪しい気配を感じました。私が振り向くと、一人の男子生徒が頭を下げ、手振りで私に来てほしいと訴えていました。彼が、コリーと一緒に居る姿を見たことがあるので、私は席を立ち、彼についていきました。
校庭の端の周りからの視線がない場所を選び、憂鬱そうな表情を浮かべる彼に、嫌な予感しかしません。けれど、聞かないわけにもいかず、私は恐る恐る話を促しました。
「フローレンス様。すみません。コリーには、長年つき合っている女性がいました。彼女はずっとコリーの夢を応援してて、本当に、お似合いの二人なんです。」
私は、過去の話をとやかく言うつもりはありません。けれど、彼の言葉の最後が、現在進行形なことに気がついて、私は息をのみました。
「でも、コリーの働き先がなかなか見つからなくて、相手の女性も結婚適齢期となってしまい、泣く泣く、二人は別れました。」
その表情から、この方が、コリーとその彼女をとても大切に思っているのだということが、よく伝わってきます。私は気持ちを落ち着けて、耳を、傾けました。
「落ち込んでいたコリーを慰めるために、皆が集まってバカ騒ぎをして、その時、コリーぐらいいい男なら、フローレンス様でも狙えると言う冗談になって。それで、賭トランプで、コリーが負けたら、フローレンス様に求婚でもしてこい、という、遊びに、なりまして。」
勢いをつけて話しはじめた彼が、だんだんとその勢いをなくして、最後の方はたどたどしく声が小さくなっていくのを、私はぼんやりと見つめています。
遊び。私は、彼の言葉を心の中で繰り返しました。
遊び。
「お遊びだったんです。フローレンス様に振られるとこを、皆でばか笑いしてやろうと。」
なるほど、とても面白そうな遊びですね。
私は目を閉じました。けれど、彼らだけを責めることはできません。私も、コリーとのきっかけは、テキトーでしたので。
「まさか、つきあうことになるとは、誰も。」
そういえば、コリーは会い始めた当初、困惑ばかりしていて好意を感じたことは、無かったかもしれません。
「でも、フローレンス様とこうなったのも何かの縁で、あいつに縁故で働き先ができれば良いなと皆で喜んでいたんです。」
次男であるコリーが、ジェスス家に取り立てられれば、出世コースにのれるでしょう。コリー本人は、そのようなことは一切望んでいませんでしたが。
「それがまさか、馬の管理者としての仕事が来るなんて。だってそうでしょう。あいつの実力で、得たものなら。」
そこまで言うと、彼は一度口を閉じました。私に頭を下げ、すみません、すみませんと何度も謝り、俺はどうなってもいいから、と言いました。
そして、意を決し、きっぱりとはっきりと、彼は告げました。
「あいつにとって、もうフローレンス様は、必要なくて。好きな彼女と、一緒になれるんです。」
その言葉は、グサリと私の心に突き刺さりました。
もう、必要ない。私はその言葉に、目頭が熱くなるのを感じて、目に力を入れました。泣きません。私は、絶対に、泣かない。
「けどコリーは、多分貴女に遠慮して、彼女を選ばない。そんな、奴なんです。」
きつい言葉とは裏腹に、彼は何度も何度も頭を下げ、謝り、お願いしてきました。
「だから、どうか、お願いです。あいつを、解放してやってください。」
私はコリーと向き合うと、先ほど聞いたことを静かにそのまま話しました。
「コリーの本心を聞かせて。コリーは、どちらを選ぶの。」
私の言葉に、コリーは、考え込みました。
考えては、だめです。こういう時は、即、貴女です、と言わなければいけません。
ああ、やっぱりまだ彼女が好きなんだ、そう一瞬でも思うと、もうそれが頭から離れなくなり、女性は二度とその男性を信頼することができなくなります。
円らな瞳に別れを告げて、私は、コリーのもとを去りました。
アシュリーもだめ。ジルもだめ。王太子もだめ。
コリーもだめ。
私は、今一体誰のルートに入っているのでしょうか。
それとも、私は見たことがありませんが、結婚をしないエンディングも存在したのでしょうか。
家政婦をやらないと、推理と妄想、証拠をあつmrts。あいtどぉつけtrnm。
もう、無理です。
気絶shkまskm・




