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主人公は、私ではありませんが、ぼちぼちやっていこうと思います。

                   

(わたくし)と結婚を前提に、付き合っていただけませんか。」


 硬直した体で、真っ赤に頬を染め頭を深々と下げた男性は、(わたくし)のドレスの裾をずっと見つめていました。可もなく不可もないシンプルなジャケットと、磨かれた靴。



 私も少し頬を染めて、彼の大きな手を取りました。


「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします。」


 私の返事に、驚いて顔を上げた男性が何かを言おうと、口をパクパクさせています。私は背の高い彼を見上げて、その向こうにある、どんよりとした曇り空から目を逸らして、彼の言葉を待ちました。


「え。本当に。いいんですか。」


 木訥(ぼくとつ)な雰囲気に、私は好感を持ちました。



 一番最初に告白してくれた方がこの方で、良かった。私は微笑んで、頷きました。




 こうして、正式にではありませんが、私に婚約者ができました。あの思い悩んでいた日々は、なんだったのでしょう。こんなにも、簡単に、できました。



 私はいつもの仲間達に新学年の挨拶をしようと、一限目の前だというのに賑わっている食堂に顔を出しました。白い内装のこの食堂は、特に女子に人気があり、今も女の子たちが小鳥のように囀り噂話をしていました。


 私の方を、見ながら。



「フローラ、交際を受け入れたんだって。」


 仲の良いクラスメイトに声をかけられ、私は素直に頷きました。


「ええ。今朝、婚約者ができました。」


 私がにこりと笑うと、周りから悲鳴やら雄叫びやら、様々な音が聞こえてきました。


「相手は、誰なの。」


「どうしてこんなに急に。何があったの。」


 私の周りには、いつも五、六人、人がいます。幼い頃からつき合いのある幼なじみ達や、入学後に気の合った学友、なぜかひたすら私を慕ってついてきてくれる子もいます。



 普段なら、彼らとの時間は楽しくて、すぐに時間が過ぎてしまうのですが、今だけは、なんとも気まずいことに私は気がつきました。私は婚約者のことを聞かれても何も答えられないし、選んだ理由がそもそも、テキトーだからです。




 私は友人達との話を切り上げ、何も言わず私を見つめているアシュリーを、生徒会役員の個室へ連れて行きました。



 アシュリーの表情に、怒りはありませんでした。何の表情も、そこにはありません。


「お前は一体何がしたいんだ。」


 焦りや不安もありません。ただ坦々と、アシュリーに聞かれました。



「何って。私は結婚をしなければいけないの。」


 私の答えに、アシュリーは私の顔に片手を伸ばすと、ごつい親指と中指で、私の両頬を押さえはじめました。私の顔はおかしな形になり、口がアヒルのようになってしまいました。



「やぁぇぇて。」


 私が、無駄にごついアシュリーの指を頬から外そうとすると、余計に力を入れられました。


 ダメです。顎が、割れそうです。止めてください。この男は、いっつもそう。



「なんで、急に知らない奴と婚約するんだ。お前は、バカか。」


 至極まともな意見ですね。私も、バカだと思います。



「ほぉ。ほおっへほいへ。」



「クッソ。お前はなんなんだよ。」


 急に大きくなったアシュリーの声に、私の体は震えて、固まりました。いつもなら、このあたりで、何かを蹴飛ばすはずです。


「全く理解できない。」



 そうでしょう。私がアシュリーを理解できないように、アシュリーも私を理解など、できるはずがありません。



 私の頬を押さえていないほうの手で、アシュリーが私の腕を掴みました。


 はあ。まさか今日は、私を掴んで投げるつもりでしょうか。



 私は目を閉じ、やってくるであろう衝撃に耐えようとしました。けれど、投げられることはなく、むしろ、私はアシュリーの腕の中に、がんじがらめに捕らわれてしまいました。


「絶対に、許さない。俺から離れるな。」


 耳元で囁かれた呪いの言葉に、私はふんっと鼻で笑いました。


「私は、貴方から離れる。そうすることに、アシュリーの許可なんか、必要ないの。」


 私は諭すように、アシュリーに言い聞かせました。何をするか分からない獣を、落ち着かせないといけません。



「黙れ。お前は、俺の物だろう。」


 そう囁いて、アシュリーの顔が私の顔に近づいてきました。近寄ってきた唇を冷静に避けてから、私はアシュリーに頭突きをくらわせました。


「ずっと、言いたかったことがある。」


 私は強い口調で、早口にまくしたてました。


「私は、貴方の物ではないの。私は、ジャケットのボタンじゃない。」



 私の話が理解できず、私を不思議そうに見下ろしているアシュリーのお腹に、私は膝蹴りをくらわせました。


「私は、人間なの。貴方の言う通りになどしないし、嫌なら抵抗もする。」


 アシュリーは、私を突き飛ばし床にうずくまっている私を、踏もうとしました。


「黙れ。お前は、ずっと俺の側にいろ。」


 私はアシュリーの足を避けると、立ち上がりました。



「お前が黙れ。この●地●めぇ。」




 誰ですか。



 アシュリーを、創ったのは。



 こういう●●外キャラは、読む分にはいいのですが、実際にいたら、恐怖以外の何者でもありません。気持ちは、私にもよく分かります。こういうキャラこそ、思い入れが激しくなって、たまらなくなるのでしょう。



 でもそれは、どっかで勝手にやってくれ。



 私をどうか、アシュリールートに入れないで。お願いします。



 アシュリーがガンガン出てきますが、ジルのこともどうか忘れないであげてください。


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よろしくお願いします。

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