第九話 修羅、現る
突然の電話にヴィクセンは驚きを隠せなかった。灘中との戦争が夏のおわりごろになりそうだからだ。ヴィクセンは緊急招集をし戦争の時期が早まったことを告げた。
「皆、戦争にむけての訓練はもちろんしていると思うが、さらに厳しく指導をしてくれ、でなければ間に合わない」ヴィクセンは下を向きひどく考えてしまった。
「ヴィクセン君。」ふいに背後から威圧のある声がした。
「横地校長!」そこにはかつて、修羅と恐れられてきた横地大三郎の姿があった。
「灘との話はうわさで耳にしたよ。。しかし、災難だな、よりにもよって灘か・・・」横地はそうつぶやくと突然ヴィクセンの背後に立った。
「君はまだまだ甘いな。」そういううと隠し持っていたナイフをポケットにしまった。
「やめてくださいよ、横地校長。」
「君はいつ殺されてもおかしくない所にいるな。」
「心配は無用です。私の部下には非常に優れたものばかりがおりますので」
「そういえば、海軍にすごいのがいたな」
「杉坂海軍元帥ですよ。彼はたった数年で内部構造を変えてしまった。あの岡閣下を屈服させたのだから。」
「岡君をか!それはすごい。岡君に調教され心を折られない者など存在しなかったのにな。かくゆう私もそのひとりだからな。」
「横地さん・・・」
たわいもない会話をしていると突然、指令調質のドアをノックする音が聞こえた