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無題

作者: 犀島慧一

ずっと『良い子』でいた君へ


悪い子になれとは言わない。

でも良い子を辞めたって構わない。

だってそれは、誰かにとっての良い子でしょう?

自分にとっての良い子は、止める事はあっても辞められるものじゃない。


例えばそれが、

家族の為だったとして、

友人の為だったとして、

社会の為だったとして、

自分でその良い子である事に誇りを持っていたとしても、

辞めてしまったって構わないと思うんだ。


罪は今までの自分を黒く塗りつぶしてしまうけど、

例えばいつも以上に御飯を食べてしまったり、

一人で部屋に閉じこもったり、

夜更かししたり、

他人の話を疲れたからと言って聞き流してしまったり、

サボったり、


それは君にとって良いことじゃないかもしれないけれど、

悪いことでもないでしょう。


いつか誰かが、君を叱りつけて、

君の中に積み重なった苦しみを引きずり出したとして、

君は「何も知らないのはあなただ」と、

泣いたり、怒ったり、苦しさの果てに笑ったりするかもしれないけれど、


どうかその歩みを止めませんように。


他人への暴力を一切振るう事はなく、

ただひたすらに自分へと刃物を向けた君。


その刃物を私に向けた君は、初めて見た悪い自分に驚いたようだったけど、

自分を罵って、私に悪い自分を否定して欲しかったのかもしれないけど、


私はあの時、君の悪い一面を見られてよかったと、本当に思っていたんだ。

良い子であろうと努力していた君が好きだったけれど、

君が良い子を辞めても、相も変わらず私は君が好きだった。



お鈴の音が低く静かに寂しく響く。

どれだけ私が想いを語ろうとも、私の声は情けない程に小さく、他の音に紛れ儚くもかき消されてしまう。


線香の煙の向こうで俯いた君が、

頭を上げる事はもうない。

お目汚し失礼いたしました、

又、お読みくださりありがとうございました!!

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