ⅡーⅡ
「嘘、にやけてた? ゴメン、それは気を付けないとヤバいね」
あんまり顔に出ちゃうとよくないよね。
今のでにやけてたんなら、多分相当な重症だよ。外でにやけてたら、それはもう変質者になっちゃう。気を付けないと。
「夏海様は聖なるお人、そして冬樹さんはその兄です。嘘を知らぬ正直な、物凄く素直なお方。そうであって当然なのです。だから仕方がありません」
「はい、お兄ちゃんはとっても素直な人です。穢れを知ら無すぎるってのも、ときには悪いこととなりえるのですね」
二人とも楽しそうに笑いながら、でも落ち着いた声でそう言った。
もしかして、横島さんも声優の素質あるんじゃない? 夏海はプロだから当然としてさ。
「しかしあたしたち人間にとって、お二人は美しい存在過ぎるのです。触れるだけで全ての悪を浄化されてしまう。そんな存在なのです」
ちょっと言い過ぎかな。夏海もそうだけど、横島さんも言い過ぎ過ぎるよね。
「さすがは神のお力ですね。全ての人間が夏海教となるべき、あたしはそう思いますよ。だって世の中で一番素晴らしいのは夏海様なのですから」
照れ臭そうに嬉しそうに笑う夏海。その姿は子供っぽくて、とても可愛らしいと素直に思った。
いや別に、恋愛対象としては見てないからね? あくまで妹としてだけど、やっぱ夏海は可愛いんだよ。
「褒めてくれるのは嬉しいのですが、それは少し違います。世の中で一番素晴らしいのは、決して夏海ではありません。夏海よりも素晴らしい存在がいます」
本当に嬉しそうな顔で、夏海は横島さんの言葉を否定した。
「冬樹さんですね? 確かに冬樹さんは素晴らしい、手の届くことのない存在です。つまりそれは、他のものと比べるべきものではないということです。だって他の神々を拝むことは出来ますが、冬樹さんはそれすら許されませんから。あのような美しいお方を、汚らわしい人間が拝むだなんて……」
「いいえ、そんなことはありません。お兄ちゃんは確かに手の届く存在ではありませんが、拝むことは出来る筈です。優しいお兄ちゃんは、汚らわしい体を清めてくれますから。だから、少しくらい汚れてたって許して下さるのです」
この二人の中での俺が分からない。どうゆう設定になっているのだろう。
絶対この二人に話を合わせるとか不可能だよね。って思うので、これはスルーが正解かな。
「……ぁ、そうですね。あたしが間違っていたようです。冬樹さんの優しさは、あたしの想像など遥かに超えるものでしたね」




