表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
七光りだって、仕事なんだから仕方ないですよね!
85/266

ⅣーⅢ

 その日はそんなところまで決定して、あとは雑談しかせずに帰る時間となった。

「はぁあ、今日は疲れたけど楽しかったです。夏海、お兄ちゃんは勿論ですが……。いおのことも、アリスちゃんのことも大好きです。スタッフやファンの皆さんも、夏海は皆大好きなんです。ありがとうございました」

 最後帰り際に、夏海はそんなことを言って出て行く。

 でも夏海にそんなこと言われちゃあ、お礼だけで出た俺が恥ずかしくなってくるじゃないか。まったく、こういうところがあるから夏海は…………可愛いんだ。

「しかし、お兄ちゃんが遂にCDデビューですか。グッズとかも販売しちゃって、楽しみですね。お兄ちゃんのだったらきっと、発売した瞬間完売してしまいますよね。だからちょっとずるいかもしれませんが、夏海は販売前に買っちゃいたいです。特別枠ですよ? だってお兄ちゃんを誰よりも愛しているのは、この夏海なんですから」

 こんな調子で、家に着くまで夏海はずっと騒ぎ続けていた。

 電車の中とか、周りの人を少しでも気にして欲しいと思った。そう思いはしたのだが、俺は何も言わなかった。

 だって夏海に悪気はないから、だって夏海が嬉しそうだから。

 それだったら公共の場で騒いでいいと言う訳ではないが、そこまでの五月蝿さでもなかっただろう。誰にも何も言われなかったし。

 勿論注意されていないからいいと言う訳ではないが、他の人だって全然気にしてなさそうだったもん。

「夏海、ありがとな。俺も大好きだよ」

 家に着くと夏海はすぐ自分の部屋へ走って行ってしまう。だから夏海がいなくなってから、俺は聞えないよう小声でそう言うんだ。

 まだ認めたくないから? いや、このままでいたいから。

「そうだ! お兄ちゃ~ん、ちょっと来て下さい」

 二階から夏海の大きな声が聞こえてくる。

「どうかしたのか? そんなに騒いで」

 精一杯子供な夏海だったから、ちょっと大人ぶって俺は返事をする。

 まあ、そんなの当り前さ。夏海は『妹』で、俺は『お兄ちゃん』なんだから。

「そういえば、昨日放送したんです! だから録画してある筈なんです! ね? 早く一緒に見ましょうよ。夏海とお兄ちゃんの共演作品ですよ」

 内容は分かっている。でも自分が出演しているんだ、見ない筈がないだろう。

 さすがにもう、ゲームやアニメでの恥ずかしさには慣れた。だってそれだったら、声だけで俺自身は見えないんだからさ。

「ああ、そうだったっけ? 分かった」

 そこまで出演作品が多いという訳ではないが、一応もう半年近くやってるんだぜ? そんな素人がって? でも仕事に慣れるには十分さ。

 って、自分の中で照れ隠し戦争を繰り広げてる場合じゃないね。

 こうしててもちょっとにやけちゃうから、すぐ気付かれて夏海に不信がられる。あの夏海に変態や変人呼ばわりされるのは、さすがの俺でも嫌だからさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ