ⅢーⅦ
「王子は勘弁。だって王子とかってさ、メッチャカッコいいイメージあるじゃん」
だからあんま、ちょっと……ね? 王様とかの方がまだ、おじさん感があるからそれはそれで嫌かも。
「あら、お兄さん十分カッコいいわよ? 王子タイプじゃなさげだけど」
カッコいいと言われて、勿論悪い気はしない。筈なのだが、アリスちゃんの表情がな……。最早お世辞って言うより、台詞っていうようなレベルだからさ。それもわざとだろうけど。
「ありがと。王子タイプじゃないのは知ってるけど、何タイプなの? 俺は」
何を言われるのも覚悟で、俺はアリスちゃんにそんなことを問い掛けてみる。
「う~ん、何がお兄さんに近いかしら。お兄さんは勿論カッコいいんだけど、むしろ可愛いってタイプなのよね。夏海さんの声も似合うけど、お兄さんだって男の娘役がいけそうな感じ。基本男の娘役は女性声優がやるけど、多分お兄さんだったらできると思うわよ。女子役やったことあるんだしさ」
可愛い、か……。褒められてるのだとは思うけど、男として可愛いで喜ぶわけにはいかない。女々しいという事なんだから、もっと男らしくしないとダメだな。
てか確かに女子役をやりはしたけど、大人しいタイプの女の子だったから出来たって話だし。小さい声とか台詞が少ないとか、そうじゃないとさすがにあの声で喋り続ける自信はないね。
「話が逸れたわ。お兄さんのファン、名前よね……。何がいいかしら。あんまり適当にやって、お兄さんに全く似合わないのじゃ困るものね。しっかり考えて、お兄さんらしさを出さないといけないわ」
失礼だけど意外かも。アリスちゃん、こんな真剣に考えてくれてる。これはふざけてないで、俺も真面目に考えないといけないパターンだね。
「えっと、例えばどんなのがあるの? 俺っぽくなくていいからさ」
もし思い付かないんだったら、その中で一番それっぽいのを選べばいいかな。そんな考えだった。
「まず、場所系ね。王国とか、小さかったら町とか。唯織さんみたいに軍団ってのも、そのノリで言ったら軍とか団とかもあるかしら。集団の名前、それに名前を付ければ十分だから。夏海さんは宗教的な感じ、それと……感染病みたいのもあるかしら。あんまりいい感じはしないかもしれないけど、冬樹感染病……園田感染病? そんな感じになるわね」
へえ、結構色んな感じあるんだね。でもその中から選んじゃおうとは思ったものの、他にない斬新な感じにしたいという気持ちもある。
「アリスちゃん! お兄ちゃんは夏海のお兄ちゃんです。どんなに卑怯な手を使ったって、お兄ちゃんの心が揺るぐことはありませんから」
悩んでいたところに、再び休憩っぽい二人がやって来た。




