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兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
七光りだって、仕事なんだから仕方ないですよね!
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ⅢーⅢ

 唯織さんのその言葉に驚愕する。

 まだ最初の練習、彼女はそう言った。それはつまり、このライブの練習をするのは初めてということ? いや、そんなことないよね。

 てかそれでだったら、二人とも暗記とか神過ぎちゃうもんね。いくら記憶力が良いと言っても……、でも台本を貰ってたなら家で練習とかもできるか。

「それじゃお兄ちゃん、ちょっとお仕事お願いします! お客さんに参加して貰うところなので、お兄ちゃんにしっかりお客さん役をやって欲しいんです」

 感心しながら二人の演技を見ていると、途中で夏海に声を掛けられた。そういや俺はお客さん役なんだから、こんなとこでずっと座って見てちゃいけないね。

「分かった、頑張る」

 ちょっと参加だけじゃ何をするのか分からなかったので、俺は取り敢えず頑張るとだけ返しておいた。

「皆は、何が一番好き? アンコールは、二曲やっちゃうよ。売れ筋№1の奴と、今ここで皆が選んでくれたのの二つ。そんじゃ皆、僕らがせ~のって言ったらお手元のボタンをどうぞ」

 どうするんだろうと聞いていると、夏海がそんな説明してくれた。

 しかし、お手元にボタンがない。

「投票ボタンは、購入して貰おうかと思ってるんです。だけど、まだどんなものにしようか決まってないんですよね」

 イケボではなく普通に可愛い地声で、唯織さんがそんなことを付け加えてくれた。

「因みに、今はお兄ちゃんの好きな曲を言っちゃっていいですよ。そしたらその歌、一回二人で一番だけ歌ってみようかと思います」

 え? 俺の好きな歌か……。ショコラティエの中で好きな歌、何にしよっかな。『心とこころ』そういやあれ、結構好きなんだよな。何か思い付いたし、特に希望はないからこれでいいいや。

「冬樹さん、何がいいですか? 何でもどうぞ」

 ステージからヒョイッと飛び降りて、ご親切に俺のところまで来て、唯織さんは訊いてくれる。

「心とこころ、だっけ? あれ好きなんだけど」

 あんまりラジオとかでも流れなかったし、そこまで聞かない曲なんだけどね。

「あっはい、分かりました。ちょっと意外なところでしたけど」

 やっぱ、皆が選びそうなところ考えた方が良かったのかな。

「それじゃ行こっか、まずは勿論これだよ。僕らの始まり、甘くて苦い恋のちょこれーと」

 イケボに戻った夏海がそう言うと、曲が流れ始めた。そして二人は、一番だけだが見事に歌い切ってくれた。

「次は俺達が想いを込めたこれだ、心とこころ」

 どっから出てるのか分からないくらいイケボな唯織さんが、俺の希望に合わせてそう言ってくれた。すると当然曲が流れ始め、こっちも二人で一番だけを歌い切ってくれる。

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