ⅡーⅨ
まあこんな感じで、横島さんは帰る時間になってもずっとテンションマックスだった。んなわけだから、当然夏海もね。
それから少しして、遂に夏休みに突入する。
「お兄ちゃん、今日から夏海は夏休みですよ! 夏海の為の休み、夏休みなんですよ! 遊び尽くしちゃいましょう」
ルンルンと踊る夏海。因みに俺は、夏海よりも少し前に夏休みに入ってたりする。
「別に、夏休みは夏海の為の休みじゃないけどね。まあいいや。そんじゃ、折角の夏休みだからじゃんじゃん遊んじゃおうね」
去年までもそうだったもん。
夏休みは遊ぶもの! 俺達は子供、それでいいんだーっ!! 夏海は受験生だけど、まあ多分問題ないよね。(←ダメな兄
そんなこんなで夏休みに入って嬉しい気分でいると、玄関からピンポーンとインターフォンの音が聞こえてきた。
「誰だろう」
不思議に思いながらも、俺は小走りで玄関まで行きドアを開ける。
「遊びに来ましたよっ! イェ~イ」
物凄いハイテンションで家に入って来てくれたのは、俺の一つ年上の声優系女子双葉唯織さんである。
「あっ! いお、本当に来てくれたんですね。いぃ~おぉ~♡」
どうやら夏海は来ることを知っていたらしく、唯織さんだと分かると俺の隣に飛んでくる。
「なーちゃんの家、来るのは初めてですね。今度はワタシの家にも来て下さいよ」
まあ確かに唯織さんの姿を見たことなかったし、来るのは初めてだよね。
「はい☆」
ニコニコと嬉しそうな夏海。
「そんじゃなーちゃん、デザインやっちゃいますよ」
デザイン? よく分からないけど、唯織さんは背負ったリュックを下ろして前に抱く。
「そうですね。お兄ちゃんも、一緒に頑張りましょう」
一緒に頑張るって? ろくな説明もされないまま、俺は夏海の部屋に連れて行かれた。
「新しいCDは、夏海といおで作るんですよ」
部屋に入って机の前に座ると、二人は何かのノートを出してきた。
……ん? 新しいCDって、また新しいのを発売するんだ。それも、夏海と唯織さんで作るって……。
「そうなんだ。よく分かんないけど、まあ俺も出来るだけ協力するよ」
一緒に頑張りましょうって言われたんだし、俺も一緒に作るってことだもんねきっと。
「ありがとうございます! ショコラティエのだから冬樹さんは入りませんけど、冬樹さんに手伝って貰えるってのは嬉しいです」
そうだよね。ショコラティエの新曲なんだったら、俺は入る訳ないよね。
「でもCDを作るって、どうゆうこと? 何を作るのさ」




