Ⅵ
「えっ、あぁ。いただきます」
そう言った後俺は、もぐもぐと言っていた。夏見のテクテクと同じような分類だよね、擬音も言うのがこのコーナー流だからさ。
「どう? 美味しい? そうよね、知ってる☆ だってあたしが、このあたしが作ったんだもん」
可愛い声だとは思うんだけど、やっぱり腹立つよねこのキャラ。いや本当に、可愛いとは思うんだよ? でもまあこれに出るのは、高確率でそんな感じであることが多い。
たまに純粋にいい子? だと思われるような子も、ではするんだけどさ。
「はい、とっても美味しいです」
俺がそう言って会話が途切れそうになったとき、サブ役の夏海が助け舟を出してくれた。
「天井さんが男といるよ? もしかして彼氏かしら」
夏海の地声よりも少し高いくらいの、普通に少女の声だった。
「あ? こんな奴があたしの彼氏な訳ないでしょう? ふざけないでよ、ブス」
さっき通りの可愛らしい声で、唯織さんは冷たくそう言った。
「そうよねぇ。あの天井さんに彼氏なんか出来る筈がないものね、ごめんなさ~い。おほほほほぉ~」
そう言って笑う夏海も、唯織さん程じゃないにしろ『性格悪っ!』って感じの声だった。声? 声ってか台詞のせいかなぁ。
「アンタみたいなブスが、あたしの視界に入らないでよ。声を聞くだけでもイライラするわ。そもそもこのあたしには、もっとあたしに釣り合った素敵な彼氏が勿論いるんだから」
あっ普通に可愛い、何この唯織さん。腹立つ感よりも、さっきのは可愛い感の方が強かった。
てか、ちょっと待って。サブの筈だった夏海もキャラとして登場してきちゃったし、俺は二人にインタビューをした方がいいのかな? でも設定的に、夏海の方はショコラティエールではないのか。
「天井さんに彼氏ぃ? 信じらんない。後で見せてよ、天井さんに釣り合った素敵な彼氏って人をっ」
楽しそうにそう言って笑う夏海の顔は、普段通りの素直な夏海の笑顔だった。しかしその夏海の笑い声は、普段の夏海とは遠く離れた作られた笑い声。
やっぱり何だかんだ言ったって、夏海も子役からやってるベテランさんなんでしょ? 芸歴十年以上、演技力もあるんだよね。
「いいわよ☆ でも、イケメン過ぎて死んだって知らないからね」
そして唯織さんは楽しそうに笑いながら、笑い声を入れないように『ベロベロバー』とかそんな感じのことを言っていた。
「てか、ブス早く消えてよ。可愛らしいあたしに、今取材の人が来てるの。邪魔しないでくれる? 存在が迷惑だわ」
そんなことを言いながらも唯織さんは、ニコニコ笑って夏海のことを抱き締めたりしている。抱きしめながらその相手に、そんなことを言うなんてね? まあこれが唯織さん、……これがこのコーナーらしいからね。




