Ⅳ
「夏海が答えます、いいですか? 答えていいですよね」
一回目は俺が答えるんだって台本に書いてあったけど、二回目は何も書いてないし……。
「なーちゃんが? どうぞ」
唯織さんも当然OKしてくれてるし、俺も頷いた。
「絶対おススメの方法です! 逃げたい時には、魔法を使って逃げればいいじゃないですか」
は? これを真顔で笑わずに言ってるんだから、夏海はさすがだと思う。
「……ふふっ、そうっで……すねへへ。今のなーちゃんみたいに、訳分かんないことを言って紛らわせればいいじゃないですか。なーちゃんが言いたかったのはきっと、そう言うことなんです。あはははっ☆」
そしてさすがの唯織さんが、笑いながらも解説してくれる。ちょっと、笑い過ぎな気もするけど……。
「訳分かんないこととは失礼ですね! 夏海はいい案が思いついたので、それを言っただけじゃないですか。完全に真面目に言った夏海の答えです、笑わないで下さい」
……マジで? 笑いもせずにそんなことを言って凄い、って思ったけど本気で言ってたからだったんだね。
「絶対おススメ! 話を変えればいいじゃん、皆もどうぞ」
そして俺が結局、最終的な結論を出す。夏海は不満がありそうな顔をしていたのだが、唯織さんはグッジョブサインを出してくれた。
「続いてこのコーナー、気になるショコラティエール」
少し休憩を挟んで、唯織さんがタイトルコールをしてくれる。これは知ってるコーナーで良かったんだけど、何でこのコーナーを? それがよく分かんないよね。
「今回は勿論お兄ちゃんがショコラティエですし……、ショコラティエール役はどうします? 夏海もいおも一応、ただの客という設定ですけど」
夏海と唯織さんで少し相談して、ようやく決まったらしい。
「冬樹さん、ワタシがショコラティエール役に決まりました。なーちゃんはサブ役をやってくれるそうです」
サブ役ってのが何をするのかは分からないが、ショコラティエールは唯織さんがやるということ以外気にする必要はないね。
「それじゃ読みますね。もふもふさんからのお知らせです、ありがとうございま~す。街外れにある小さなお店に、天井蝶子愛さんと言うとても可愛らしいショコラティールがいるそうです。噂にしか聞いていないのでどんな子なのかは分かりません、調査に行って見てきて下さい」
いつもよりも凝った名前をしているのだが、いつもよりもキャラの設定が少ない。
「どんな子か分からない? それって、全部ワタシが考えるんですかね。まあいいでしょう、唯織の世界という物を教えてあげます」




