Ⅱ
「よぉく聞けば、ワタシの声も聞こえてくるかもしれませんよ? 出演はしていませんが」
それじゃあ、よぉく聞いても聞こえてこないと思うな……少なくとも俺は。
「特別コーナー、おススメ商品はぁ? このコーナーでは、リスナーの皆さんから届いた質問にゲストショコラティエさんに答えて貰うと言う物です」
「美味しいチョコレートの為にと何が違うの? そう思う方もいるかもしれませんが、こちらのコーナーではアドバイスをしたり貰ったりなんてしません! おススメのものを紹介する、まあ自分の好きな物の話をするだけってことですね」
特別コーナーか、それはそれは戸惑うようなものを用意してくれたね。でも唯織さんが説明してくれた通りなら、いつも通り駄弁っていることとそう違いない。
「唯織軍団所属者さんからの質問です、ありがとうございます。って、これいおが読みます?」
夏海が読もうとして、唯織さんに手渡してしまった。まあ唯織軍団所属者って、明らかに明らかなる唯織さんの方のファンだもんね。
「え? あっはい。おススメのアニメやゲームを教えて戴けませんかとのことです、出来ればファンタジー物がいいらしいですね」
あれ? 唯織さん、随分と略して読まれましたよね。そんな読み方、ありなんですか? 確かに、内容はそんな感じっぽいけどさ。
「ワタシだったらベタな感じに『異次元メモリー』ですかね、お二人はどうですか? これって、なーちゃんとか出演していましたよね」
あ、何か懐かしい感じがする。いや別に、俺は出てないけどさ。『異次元メモリー』って何だか、俺が初めて声優として夏海を知った作品みたいな感じじゃん。
アリスちゃんと出会ったばっかりで唯織さんとはまだ出会う前、夏海が見せてきた作品。俺がプレイしてみた、初めての夏海出演作品。
「はい、夏海がメインヒロインをやらせて戴いています。結構夏海の中でも、『異次元メモリー』はお気に入りですね」
まああんだけのゲームの中で、一番始めに取り出してきたくらいだからね。
「俺も思い出のある作品ですし、『異次元メモリー』本当に大好きです」
ストーリー的にも、普通に面白いってか好きなタイプだったんだよね。話がしっかりしてるし、それぞれのルートに色んな特徴があって全然飽きないから。
「お兄ちゃん、そう思ってくれてたんですね……」
夏海が俺の手の上に手を乗せてくるのだが、残念なことに今だけはハエ叩きが手元にない。
「夏海に言ってるんじゃなくて、俺は『異次元メモリー』大好きですって言ったんだよ? 分かるかな」




