ⅢーⅨ
「それと明日が日曜日だから、ショコラティエのラジオをやる日です。一時半からなので少し遅いですが、絶対聴いて下さいね」
一時半か、確かにちょっと遅いかな。夏海は宣伝しながらも、やっとCDを掛けてくれた。
『ちょっと女王気分 ロイヤルに一日過ごしたい』って入ったし、多分これがさっき見せてくれた『ロイヤルな一日』って奴なのだろう。まあ、イメージとは結構違ったけど。
もっとロイヤルな感じな曲だと思ってたら、普通に夏海な歌だった。スピードもそこそこにあるし、思い切り可愛い系の曲だ。それと声が、明らかに夏海だった。
小鳥ちゃんや子猫ちゃんじゃない、完全に明らかなる夏海の声だった。今回やってた役とも、全然違うな。
「早速お兄ちゃん、凄い聴き入ってますね」
二曲目も、楽しい可愛い歌だった。やっぱり夏海って、そうゆう歌が多いのかな? それとも、これがそうだっただけ?
そして夏海の歌を聴きながら、俺はいつの間にか眠りについてしまっていた。目を覚ますと隣では、夏海がすやすや眠っていた。俺は起こさないようにと、そっと夏海の部屋を後にする。
一階に下りて俺は、すぐにシャワーを浴びた。今日も撮影するんだっけ? 昨日は普通に楽しかったし、今日も楽しみだな。
「お兄ちゃん、どうして誘ってくれなかったんですか!?」
俺が髪を拭きながらリビングへ行くと、凄い勢いで階段を下りてきた夏海が言う。何に? てか朝から元気だな。
「シャワー浴びるんなら、夏海のことも誘ってくださいよ」
ああ、そうゆうことね? そうかそうか、じゃあどうでもいいな。
俺は夏海を完全にスルーし、キッチンへと向かう。朝ご飯は何がいいかな。
「お兄ちゃん! 無視しないで下さいよ。ねえねえ、可愛い妹ですよ。話を聞いて下さい、お兄ちゃ~ん」
鬱陶しく夏海は、俺の周りを飛び回る。邪魔だけど、喋っちゃダメだ。夏海が諦めるまで、耐え抜くんだ…! 夏海はいつか諦める、でも構っちゃうとずっと付き纏うから。
「うぅ、お兄ちゃんの意地悪! 最低! 最低最低、最低です」
やっと諦めたようで、夏海は部屋から去って行く。はあ、あとで慰めに行ってあげないとな。




