Ⅶ
今はもう年齢を疑いようがないところまで来ているけれど、やはり信じられないところも数多くあった。
というかまず、その見た目が年齢を大きく否定していた。
「自分で恥ずかしくなるくらいなら言わなければ良いものを」
本音が漏れた俺をアリスちゃんはキッと睨んだ。
「何よ。言い方がムカついたから、ちょっと反論したかっただけじゃないのよ。まさか夏海さんが入って来るとは思わなかったんだわ」
やはり誰であってもこの中に夏海を可愛いと思わない人がいる訳がないのだから、夏海に聞こえてしまわないよう気遣ったのだろう。
彼女に悪気がないことも、彼女が良い子なところも、きっとアリスちゃんは知っている。
もしかしたら、残念だし悔しいけど、俺よりも知っているかもしれない。
だからか小声で責めるように俺に言ってくる。
「そのときも一緒に遊んだんだけど、仲良くなったのはその後のこと。だってアリスったら、本当に可愛かったんだもん」
あくまでも過去形で、母さんは話を進めて行く。
まだ引っ掛かりはするようだが、ツッコむのは面倒なようだった。
たまに俺が夏海へのツッコミを放棄するように、アリスちゃんも母さんへのツッコミを放棄したくなるときもあるというものだ。
そのレベルのボケ方なんだから、仕方がない。
丁度、天下の天然ボケと担当ツッコミ要因の数が合ってしまっているのだから、父さんは枠外ということで。
だけど父さんってそういうところあると思う。
……って! 俺まで脱線しちゃってるじゃないか!
これだけ話に脱線が多いと、気が緩んで脱線してしまうというものだ。
「その日きりでさすがにあたしとアリスの関係は途切れてしまったの。いくら可愛いからって、それからストーカーになるって訳にもいかないこと、ふゆくんにだって理解は出来るよね?」
「俺のことをなんだと思ってんだ……」
母さんのツッコミはアリスちゃんに担当して貰いたかったんだけど、クスクスと笑って、ちっともツッコミを入れてくれる気配がなかったものだから、溜め息とともに呟くしかなかった。
完全に母さんと夏海は母娘という感じでツッコミどころが多過ぎる。
「んまあ、傍から見てると、ストーカーはそっちじゃないって思うところもあるけれどね。確かに間違えなく冬樹さんは救いようもないくらい、それこそ夏海さんのブラコンなんて比じゃないくらい、どうしようもないシスコンよ。けれど、ストーカーかって言われると、それは違うのよね。合法シスコンって言ったら良いのかしら」
ストーカーを否定した流れで、シスコンシスコンと何度も言ってくるアリスちゃんは、とても俺の味方ではなさそうだった。




