表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
家族だって、離れていたんだから仕方ないですよね!
222/266

ⅡーⅢ

「冬樹さんが笑ってくれて、あたしは嬉しいです。その笑顔は、元気になった笑顔でしょう? これで、辛そうな微笑みなんか浮かべて、傍で見ている夏海様まで苦しめるようなことなんてなくなりますよね?」

 園田兄妹のことは、全部お見通しというのが、横島さんの謎情報ツールの実力なようだった。

 心配してくれるせいで、夏海の表情が曇ってしまったことも、当然のように横島さんには知れれていたのだ。

 一緒にいる時間なんてそうないのに、それだけ彼女の気持ちが強いということなのか。

 想ってくれているのだ、だって彼女は()()()だから。

「ふふっ、序でに、世間話でもしていきますか? 夏海のことが心配だから、俺は今すぐにでも家に帰るよ。待ってろよ、夏海っ! なんてこと言うタイプのシスコンお兄ちゃん系主人公とは、違っている冬樹さんでしょうから、別にそれくらい付き合ってくれますよね」

 ……え、あれ、ファンだよね?

 右腕ががっしりと確保されて、迫力のある笑っていない笑い顔で迫られた。

 威圧が半端じゃないんだけど。

「さすがに逃げはしないし、掴むことはないだろ。悩みを相談して、アドバイスまで貰って、かなり十分なくらいだけど、気分転換に世間話でも出来たらもっと良いからね。だからとにかく手を離して」

 意外なくらいあっさりと素直に手を離してくれた後、横島さんはにやりとした笑みで体を乗り出す。

 何を企んでいるかは知らないけど、今の俺が持っている、彼女への感謝の心があってすれば、何を言われたって受け入れられる気がする。

 言われた段階では、なんだって流せる。

 それくらい、今の俺は横島さんを尊敬し、感謝している。

「お願いします。もっとあたしは冬樹さんと仲良くなりたいのです。ファンだから近付きたいという、下心が全くないのではありませんが、あたしは友人として仲良くなりたいのです」

「……え?」

 思ったよりも普通の答えで、逆に驚いてしまった。

「駄目でしたか。やっぱり駄目だったのですか。ごめんなさい、そうですよね、ごめんなさい」

 俺の雰囲気を否定と取ったのか、謝りに入った横島さんを慌てて止める。

 そして普通に言おうとしたが、なぜだか照れが入って戸惑った。

 友人として仲良くなりたいだなんて、言われたことがないからな……。

 普通の告白とかもされたことがないから、こういう改めて言われるのに慣れていなくて、それに弱いのだろうな。

 友達くらいはいるけど、それっていつの間にか仲良くなっているものだし。

 愛の告白のような視線を向けて来るなぁ!

「いえまさか。敬語なんて止めて、横島さん、俺も横島さんともっと仲良くなりたいと思うから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ