表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
大切だって、過去の記憶なんだから仕方ないですよね!
208/266

ⅣーⅠ

 妙にニヤニヤしていると思ったら、そういうことだったのか。

「お前、これを買ったのか? 滅茶苦茶可愛いとか、そんなように思ったのか? 何それ、マジ引くんだけど……」

 俺に恥ずかしい思いをさせる為に、購入をした訳ではあるまい。

 こんな馬鹿だけれど、きっと邦朗は俺を元気付けようとしてやってくれたことだと思ったから、冷たい視線を向けるだけにしておく。

 それに、ネタなんだろうから、拾ってあげないとね。

「せっかく横島さんが貸してくれたから、手元にあるうちに、冬樹に聞かせてやろうと思って。ごめん、さすがに買おうとは思えなくって、でも可愛いと思ったのは嘘じゃないぞ?」

 とりあえず、購入するほどではなかったようで、そこには一安心。

 ただのネタ用品だったとしても、これを邦朗が買ったと思ったら、ちょっと距離を取っちゃいそうだから。

 しかし横島さんから借りたものだとしても、聞いて可愛いと感じたことは、嘘じゃないと主張している。

 フォローのつもりの言葉なようだけれど、それはそれでどうなのだろう?

「え、マジで? 気持ち悪っ」

「はぁ? 気持ち悪いってなんだよ。別に冬樹を可愛いと思ったんじゃなくて、キャラクターを見て、聞いた上で可愛いと思っただけだっつの」

 つい漏れた本音に、邦朗が反論をしてくる。

「だとしても、女性向けドラマCDを聞いて、ときめいちゃった系男子高校生だろ? 十分に気持ち悪いわ」

「気持ち悪かねぇよ! 全国のときめき男子高校生たちに謝れし! そんじゃ、お前も最後まで聞いてみろよ、本気で可愛いから」

 なんとか俺が一時停止をしたというのに、邦朗は再生をクリックしようとする。

 それは困るのですぐさま邦朗を捕獲し、俺の行動を邦朗が妨害することを阻止しつつ、パソコンからCDを取り出して片付けてしまった。

 ここまでしたなら、そうすぐには再生出来ないだろう。

「全国のときめき男子高校生ってなんだよ。というか、可愛いと思わせたいんなら、せめて他のものを選んだらどうだ? 自分の声を聞いて、何これ可愛い、なる訳ないだろ!」

 千博さんとか、普通にかっこいいと思うし。

 物理的にも再生出来ないようにし、その行動を起こそうとすることも抑えさせる為に、全身全霊を込めてツッコんだ。

 これでもう、同じボケをかますことは、かなりしづらくなったことだろう。

「そんなことを言われたって、男性声優さんの作品は知らないし、女性向けドラマCDなんて買ってないからな。今、手元にあるもので行ったら、これしか選択肢がない」

 つまりは邦朗自身だって、別に好きという訳ではないのだろう?

 可愛いと思ってしまった時点で、これからどうなるか分からないし、そこが危険なところでもあるように思えるけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ