ⅡーⅩ
「お兄ちゃん、明日の撮影も来れますか?」
明日もあるの!? えっ、そんなに長いんだ……。
「そもそも冬樹さんも仕事なんですから、来ないといけないと思いますけどね」
まあ、そうでしょうね。唯織さんの言う通りだよ。
「あのさ、質問していい?」
「あっはい、何でしょうか」
夏海と唯織さんで、ユニット組んで歌ってるんでしょ?
「ショコラティエって、どれくらい歌があるの? ほら、ライブとかやってんのかなって気になってさ」
まあ今の話的には、ちょっと関係ないかもしれないけど……。
「今のところアルバムが一枚と、シングルが四枚出ています。えっと、曲数は……」
唯織さんがCDの枚数を教えてくれる、曲数は分からないのかな?
「結構被ってますし、二十曲くらいじゃないんですか?」
頑張って唯織さんが数えている間に、夏海が大体で答えてくれた。二十曲か、結構あるんだな。
「夏海といおがショコラティエとして出たライブは、六回くらいしかないと思います」
六回って、しかなんだ……。でもライブでの夏海か、兄として見てみたいな。でも夏海は可愛いし、普通にファンとしてでも見てみたいな。
「あと一応、ラジオとかも持ってますよ。なーちゃんがちょっと、噛み捲るんですけどね」
プロでも噛むのはしょうがないよ。でも、ラジオまでって凄いんだね。
「えー、いおだって噛むじゃないですか。夏海のこと言えるんですか~?」
この二人、仲が良さそうだね。二人が笑顔で楽しそうに言い合っていると、アリスちゃんがさり気無くコップと箸と弁当を置いて行った。
「あっそうだ、お兄ちゃんに夏海たちのCDプレゼントしましょうか? 超可愛いですから、ライブ映像もあげますよ」
高速で弁当を食べながらも、夏海が提案してくる。へえ、それはいいんじゃない? でも自分で買った方が……。
「ちょこだけは、しっかり覚えて貰わないと困りますから」
唯織さんが言って来るのだが、ちょこってどうゆうことなのだろうか。
「えっと、『甘くて苦い恋のちょこれーと』って言う曲なんですけど。多分、一番人気ソングですね。いつもライブの時に、二回歌うんですよ」
へえ、どんな歌なんだろう。でもライブで二回も同じ歌を、歌うんだ……。
「分かった、出来るだけ覚えるようにするね」
でも確かに、曲名はショコラティエっぽいよね。だってチョコレートでしょ? 他の曲も、そんな感じだったりするのかな。
「お兄ちゃん、食べるの遅くないですか?」
曲を想像しながら俺が弁当を頬張っていると、夏海が俺の隣で言ってきた。もう食べ終わったの? あっ、唯織さんも食べ終わってる。早くね?
「なーちゃん、冬樹さんに生で歌聞かせてあげましょうよ」
「あっそれ、いいですね」
机の前に、夏海と唯織さんが並ぶ。気になって食べれないんだけど。そんなことを思いながらも、俺はさっさと食べ進めていく。
「それじゃあ、聴いて下さい。ショコラティエで、甘くて苦い恋のちょこれーとです。どうぞ」
夏海がそう言うと、唯織さんが歌い始めた。俺は出来るだけ気にしないように、どんどん食べて行った。丁度サビ前だと思われるところで、俺も食べ終わった。
これで集中して、歌に聴き入ることが出来る。にしても、可愛らしい曲だね。思ったよりも二人の声が子供っぽくて、今普通に驚いてるんだけど。




