表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
我慢だって、愛されているんだから仕方ないですよね!
169/266

ⅣーⅢ

 しかしこれには、どう返答すれば良いのだろう。

「さあね」

 返答に困ったので、はぐらかすように微笑んで、いつも通り馬鹿駄弁りを始める。

 掘り下げて欲しくない話題だと、ちゃんと分かってくれたのだろう。しつこく言って来ないのだから、そういうところは、邦郎のいいところだと思う。

 余計なことは言ってしまうから、女子にはモテない様子だけどね。


「お兄ちゃん! 聞きましたよ! どういうことなんですかっ!」

 その日、帰宅すると「ただいま」を言う前に夏海の大声が聞こえてきた。

 何を聞いたんだろうか。どういうことなんですかって、それはこちらの台詞である。

 主語のない質問に、俺はどのように答えればいいのだろうか。

 とりあえず、落ち着いて貰ってからゆっくりと質問には答えてあげるとしよう。

「冬樹さん、お邪魔しております」

 なぜ夏海がこんなにもハイテンションなのかと不思議に思っていたのだが、リビングへ行くとその理由が発覚した。

 ちゃっかり横島さんが座っていたのである。

 どうしてここにいるのかよりも、どうやったらここに来れるのか。その疑問の方が俺の中では大きかった。

 だって俺、寄り道しないで帰ってきているんだからね?

 彼女が私服であることを考えると、一旦帰宅してから着替えをして、俺の家へ来たということになる。

 部活はどうなのだろう。俺は部活に入っていないから、そのまま帰って来ている。しかし横島さんはそうじゃない筈。

 最初に家へ連れて来たとき、偶然部活が休みだとか話していたのを覚えている。

「なんて顔をしているんですか。お友達でいてファンである横島奏さんに対して、そのような表情を向けるのはどうかと思います。百歩譲って夏海を蔑むのは一向に構いません。しかし、奏ちゃんはお兄ちゃんの純粋なファンなのですよ? 大切にしないといけませんからね、お兄ちゃん」

 横島さんを見て戸惑っていると、夏海にそう注意されてしまった。

 そんなことを言われても、俺だってファンは大切にしなければいけないとは思っているよ。横島さんのことも、大切なファンとして扱っている。

 今までは会話もしたことがなかったのだから、友達だったかどうかは怪しいけどね。

 ただ大切にしているのは本当だから、注意される謂れはないと思う。いくら夏海先輩だとしてもね。

 それと蔑んでもいない。戸惑いはしたし怖いとは感じたかもしれないけれど、蔑んではいない。

 夏海の言葉にツッコミどころが多いのはいつものことだが、この言葉はやはり納得出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ