表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
我慢だって、愛されているんだから仕方ないですよね!
145/266

 しかし、姫と言うのは誰を指しているのだろうか。

 結婚なんてそんな話題上がったことあるのだろうか。誰と恋人とか、そんなの興味ないから見ないんだよね。

 ただ、そんなのに俺の名が上がるとも思えないんだよな。

 声優ファンの間で何かが噂されていたとか? それでも、全く身に覚えがないからな。

「一人の姫を想い、結婚まで考えたことなどまだ未熟な私にはありません。だって私にとっては、城内の民み~んながお姫様みたいなものだから」

 自分でも吐きそうになるような言葉だった。これを台本ではなく自分で言うのだから、俺はナルシストだろう。

 完璧に言い切ることも出来ず、最終的には笑いを堪える状態。

 それなのに、皆は歓声をくれた。案外嬉しいものだな。

「皆がお姫様ですか。夏海ちゃんが言ってた通り、口が上手い王子様ですこと」

 俺の台詞を笑い、大勇さんは言う。夏海め、余計なことを言いやがってさらに恥ずかしいじゃないか。

 皆が笑ってくれているから、それでいいとは思うんだけどさ。

 お笑いイベントではないんだ? 一応声優園田冬樹のイベントだから、笑われているままなのもそれはそれで行けない気がする。

 痛々しい台詞を吐いたときだって、可愛いと言ってくれたんだ。

 大勇さんにからかわれても構わない。きっとナルシスト的なことをすれば、ぶりっ子的なことをすれば可愛いって言ってくれる。

 そうは思うけれど、俺はそこまで強くなかった。

 イベントは順調に進められていく。

 皆は笑うところで笑ってくれるし、俺が少し頑張れば褒めてくれる。ノリも良くて、結構仲良くいろいろやってくれる。

 お客様の優しさに支えられながら、イベントは進められていく。

「姫君が到着なさったご様子ですよ」

 普通にケーキを食べていると、大勇さんがそう言った。

 ティーパーティーと言う設定なので、紅茶は用意して貰っていた。クイズに答えたりゲームをしたりして、ご褒美として手にしたのがケーキである。

 普段は中々食べられない高級品なので、失礼は承知で会話中もちょくちょく頬張っていた。

 最初、姫君と言うのが誰を指しているのか分からなかった。

 しかし夏海登場のタイミングなので、夏海のことを姫と言っただけだと思い納得。案の定、奥から走って登場したのは夏海だった。

 彼女の登場に、一気に会場は沸き上がる。

「世間知らずのお兄様が、何か迷惑を掛けていないか心配できてしまいましたわ。お兄様、どうでしたこと? 私に教えて下さいな」

 お淑やかに微笑んでしっかり者の妹をちゃんと演じる夏海。

 まあ、彼女は元々しっかりはしているからね。演じていると言うのは間違っているかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ