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兄妹だって、愛があるんだから大丈夫ですよね!  作者: ひなた
恐怖だって、ファンなんだから仕方ないですよね!
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ⅤーⅦ

「ここさ。お父さんが連れて来たかった場所」

 移動時間も、他愛のない話をしていたら一瞬で過ぎた。

 そして、辿り着いたらしく父さんはそう言う。

 目の前に聳え立っている建物は、何度か訪れたことのあるもの。夏海の為に、戦い続けた場所。アニメイト本店。

 しかしなぜ、わざわざ父さんはここに連れて来てくれたのだろう。

「来て貰えないかな」

 人混みを掻き分けて、父さんはどんどん進んで行く。父さんは迷子にならないようにと、右手で俺の左手で夏海の手を握っていた。

 子供じゃないんだから。そうは思うけれど、着いて行ける自信はなかったので素直に手を掴んで貰っている。

 どこかを目指しているのだろう。

 父さんは、ただ前だけを見つめて進んでいた。目的のものがあり、それ以外には興味がないと言った様子。

 そこまで父さんが見たがるもの。そこまで父さんが見せたがるもの。

「あった!」

 嬉しそうに父さんが手にしたのは手帳のようなもの。

 それが何なのか、それがなぜ欲しいのか。俺にはよく分からなかった。

「夏海も冬樹も一つ持って、買いに行くぞ」

 なぜ買うのに俺たちが持たなくてはいけないのか、それは理解出来た。

 お一人様一点限り。そう書かれていたから。もう売り切れ寸前、四つしかなかったので三つ持っていくのは悪い気になる。

 父さんが持てと言うので持つけれど、これが何かも分からない。

 華麗に会計を終えると、父さんは真っ直ぐ店の外へ俺たちを連れ出した。

「見てみろ」

 そう言われたので、俺も夏海も封を開けてそれが何なのか確認してみる。

 『パスポート』そう書かれていた。不思議に思い、俺はそれを開き読み始めた。

 妖精の森へ行ける、素敵なパスポート。さあこれを持って、あなたも幸せの扉を開きませんか?

「どや!」

 父さんはそう言っているけれど、俺には分からなかった。

 それが何かはもう分かった。しかし、それを俺や夏海が買う意味が分からなかった。

「イベント参加のパスポートですね。もう発売されたのですか」

 夏の終わり、俺はイベントを開催して貰えることになっている。

 どうせ俺なんかじゃチケットは売れないし、そう思ってこの形式で売り出したんだろう。誰でも購入することが出来る。つまり、応募でないということだ。

 そのイベントには、ゲストとして夏海が出演してくれる。

 それを予測して、夏海目当てに来てくれる人もいるだろう。売り切れ寸前だったということは、夏海登場説に気付いた人が多かったのかな。

 購入さえすれば、イベントには参加出来る。完全早いもの勝ちの制度。それと、ネットで購入することは出来なくなっている。

 熱い夏海教信者しか買わないようなものだよな。

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