ⅡーⅡ
「あっ、思い出しました。八時くらいに迎えに行くって、アリスちゃんが言ってた気がします」
今更思い出したって、どうしようもないよなあ。
「よし分かった、急いで食べよう」
もうそんなに残ってないし、十秒もあれば完食出来る筈。俺は超高速で押し込み、十五秒ほどで食べ終えることに成功した。
「夏海も食べ終わりました。さあ、行きましょう」
皿を出しっぱなしで行くというのは少し抵抗があったが、仕方がないので家を出た。
「じゃあ、急ぐわよ」
俺が鍵を閉めている間にも、二人は走って行ってしまう。俺は鍵の確認をしてバックにしまいながら、猛烈ダッシュで追い掛ける。
なめるな男子高校生!
「はあ、間に合ったわね」
凄くギリギリで俺達は、バスに乗り込むことに成功した。
バスの中でアリスちゃんと夏海は、夏海の髪を弄ったり化粧をしたりしているようだった。
「ここで降りるわよ」
暫くするとアリスちゃんが、立ち上がって俺に教えてくれた。
やがてバスが停まると、アリスちゃんは三人分のお金を置いて先に降りて行く。何てカッコいいんだ。
「そう言えばお兄ちゃん、バックには何が入ってるんですか?」
俺は小さな黒いバックを、一応提げている。
「財布と鍵と、携帯くらいかな。他に何か持って来た方が良かった?」
必要最低限の物を持っていれば、大丈夫だと思ったんだけど。
「絶対に必要なものが入ってないじゃないでー」
パコーン
夏海が喋っている途中でアリスちゃんが、夏海の頭をハエ叩きで叩いた。やっぱり夏海を関わってる人だったら、ハエ叩きは持ち歩いてないとだよね。
俺も基本アイテム過ぎて、ハエ叩きを言うのを忘れていた。
「そうだね。絶対に必要なものを言い忘れていたよ」
俺はバックから取り出して、ハエ叩きを見せた。




