ⅢーⅠ
夏海だって人気声優だよね。そう思ってる。ほんと、自慢の妹だよ。
だけど唯織さんは大人気声優って感じじゃん。ただの人気じゃなくて、大人気だから。
こんなところで遊んでるけど、かなり有名で凄い人なんだよ? だってさ、CDの数とか半端ないそうだから。それも、全部めっちゃ売れるんだって。
グッズとかも凄いんだって? それに、唯織さんが出るってだけでアニメは人気が出る。イベントなんて大盛り上がり。
ごめん、さすがに言い過ぎた。でも、唯織さんは大人気って感じだよね。
「ワタシですか? 突然そんなこと言うから驚いてしまったではありませんか。しかし、どうしてワタシなんでしょう。もしかして冬樹さん、入団したいのですか」
素直に不思議そうな表情をする唯織さん。
そう、ここはいいところだと思う。大人気なんだけど、自惚れたりしないじゃん。
どんなに凄くても、ナルシストは嫌いだからさ。それと、上から目線な人とかも嫌い。
だけど唯織さんは、ファンに優しいもん。
「お兄ちゃん、浮気は許しませんよ! それとも、また夏海をからかっているのですか? しかし夏海も思います。いおは凄い人ですよ」
凄いでしょ? 唯織さんはね、夏海も認めるくらい凄い人なんだから。
「なーちゃん、変なこと言わないで下さいよ。それにワタシは知っているんですよ? ワタシとは比べ物にならない程、なーちゃんのスケジュールがびっしりだということ」
そうなの? 唯織さんの方が忙しそうだけどね。
夏海は家でゴロゴロしてるイメージの方が強いし。だからさ、残念ながら忙しそうじゃない。
でもきっと、忙しいには忙しいんだろう。少なくとも俺よりは、さ。
「何言ってるんですか? いお、冗談はやめて下さい。夏海のびっしりスケジュールは、仕事以外も入っているからですよ」
つまり、仕事と遊びを同じのにってことか。
まあ確かに、わざわざ分けるのもめんどくさいし。って気持ちは分かる。そうゆうことだよね? きっと。
「分刻みのスケジュールでしたよね? どんだけリア充してるんですか」
え? 遊びも入れたって、どうしたら分刻みになるんだろう。
確かに唯織さんの言っていることも分かる。相当神してないと、分刻みに遊びのスケジュールも入らまい。
「はい、まあ。しかし、殆どゲームです。何時からイベントとか、結構あるじゃないですか。それをメモしているだけですよ」
なんか、一気に凄くなくなったね。
仕事の予定がぎっしり、それはかなり有名ってこと。遊びに行くなどのことがぎっしり、それはかなりリア充ってこと。




