ⅡーⅧ
「ごめんなさい。あたしは、夏海教信者失格ですね。どうすればいいのでしょう」
横島さんはそんなことを言っているが、それは俺の台詞だと思えてきた。
だって三人とも、特に唯織さんが楽しんでいるように見えて来たんだもん。どうすればいいのでしょう。
「これからでも、直して行けばいいじゃありませんか。夏海教は、どんな人も受け入れますよ。一度過ちを犯した者も、しつこく咎めたりなどしません」
だって声が夏海じゃないもん。
確かに夏海の面影は残ってるけど、大人っぽいもん。この時点で、夏海はキャラを演じてること確定じゃん。
「本当、ですか? やはり夏海様は心が広いのですね。あたし、これからは夏海教の教えをしっかり胸に刻み生きていきます。もう二度と過ちを犯さなように」
何だろう。俺はどうしたらいいんだろう。
でもまあ話を振られない限りは、このまま見ているだけで大丈夫だよね。
見ていて面白いには面白いし、参加しなくていいならやっててくれて構わない。ただ、参加とかは絶対したくない。
「人は誰しも過ちを犯してしまうものです。しかしそれを正せるあなたは、えっと……」
そう、アドリブだとこうゆう事になるからね。
でもまあ夏海のフォローだったら、唯織さんに任せて大丈夫だよね。多分唯織さんは、その為に今まで何もしなかったんだ。
「素晴らしい存在なのです。あなたのような方が我が団にいること、わたしは誇らしく思います。これからも素晴らしくあり続けて下さい」
でも何だか、フォローじゃなくて横取り感があるのはなぜだろう。
ずっと夏海教の話をしていたのに、団とか言っちゃったからかな。それで唯織さんのところに引き込んじゃったもんね。
てか唯織さん、夏海とはレベルが違うね。キャラの演じ方が物凄いもん。
まず、敬語には違いないけど口調が唯織さんじゃない。そして、声がめっちゃ「透き通るぅ!」って感じなのね。
綺麗系みたいなさ。唯織さんは元々そうゆうタイプだけど、聖なるって感じの。大人っぽい系のシスターとか、そうゆうキャラが似合う感じ。
だからその部分は、団と言うよりも宗教かな。まあ、よく分からないのね。よく分からないんだけど、可愛いじゃなくて綺麗って感じなの。
「お兄ちゃん、何ニヤニヤしているんですか? いおにデレデレしているんですか。それとも、夏海のことを嗤っているんですか」
可愛らしく頬を膨らませる夏海。なんか、普通に可愛いと思う。
「夏海、可愛いなと思ってさ」




