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日々の記憶。  作者: ちびやな@やなぎ
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プレゼント。

ほのぼのさせることが目的。

甘々になってるといいなぁ。

「・・・なんか、これ、最初よりしわ増えてるような気がするんだけど・・・?」

 アイロンをかけている最中のワイシャツを見てぽつりとつぶやくと、四苦八苦している私を面白そうに眺めている相棒が「平気だろ」と無責任な返事をする。

「本当に?」

「初心者マークにしては上出来だから気にせずやって平気だよ」

「・・・やっぱしわできてるんじゃん・・・」

 私の突っ込みに相棒は、楽しそうに笑うばかりだ。

 なぜ唐突に私がアイロンがけをしているのかというと、明日は相棒の誕生日だからだ。今年はここひとつきばかり少々ごたついていたのでプレゼントを用意できなかった。相棒もそうと察していたのか、珍しく「誕生日にして欲しいことがあるんだけど」と言いだしたのが昨日。

 悪気はなかったし、しかたのない事情というものがあったのだけど、やっぱりプレゼントを用意できなかったことで少しばかりめげていた私は、ありがたくその提案に甘えることにした。

 そして、そのして欲しいことというのが「お前の用意した洋服を着てつとめに行ってみたい」というしろものだった。つまり、ワイシャツとスーツのアイロンがけをしてくれ、ということだ。

 そんな経緯で私はいま、相棒の部屋で数年ぶりにアイロンがけなどという作業をしているところだった。

 袖にアイロンをかけてはアイロンじわをつくり、前みごろをやってはボタンにひっかかり、反対の袖をやろうとしてはかけ終わったところにしわを作り、後ろみごろを広げようとしてきりふきをひっくりかえし・・・。

 と、はっきりいって、ろくでもない状態になっているのだけど・・・。

 相棒は私がため息をついたり、しわにしないようにワイシャツを移動させるにはどうしたらいいか悩んだり、転がしたきりふきを追いかけたり、というのをしごく楽しそうに眺めている。

「そんなに楽しい?」

「そりゃ、誰かが自分のために頑張ってなにかしてくれてるってのは嬉しいだろ? さらっとできることしてもらうより、苦手なことを一生懸命やろうとしてくれてるってのがなおいい」

「なるほどねぇ」

 しれっとたらしな台詞を口にした相棒に、苦笑混じりにうなずく。確かにそれは嬉しいかもしれないな。

 あと少しになったアイロンのかかっていない部分を見て、気合いを入れ直す。

 3時間早起きをして、明日はしわの残ったワイシャツででていく相棒を見送ることにしようかな。

お読みいただきありがとうございます♪

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