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日々の記憶。  作者: ちびやな@やなぎ
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背中合わせの幸せ。

男の方はちょっと苦手なお話かも知れません。

女性の毎月の悩み事にちょっと触れている内容となっていますので、苦手な方はブラウザバックしてくださいませ。

 洗面器の中で手洗いをしながらふと首を傾げる。

「ねぇ? 使い捨て使うのと、こうやって結構な量の水と洗剤使って手洗いして使いまわすのと、どっちが環境にいいんだと思う?」

 少し声を張り上げて尋ねると、居間にいた相棒がやってきて戸口から洗面所をのぞいた後、外の壁により掛かる。

「まぁ作るのと燃やすのにどのくらいコストかかってるかにもよるんだけどなぁ。確かにわかりにくい所だ」

 最近私は布ナプキンとやらを使ってる。エコブームに乗った商品らしいけど、ぶっちゃけ私は使い捨てナプキンにかぶれるという難儀な体質なので、かぶれにくいというふれこみにひかれて使い始めたのだけど。

 確かにかぶれにくいし快適なんだけど、長時間のつけ置きが必要だし、手洗い必須だし、汚れの性質上真冬でもお湯が使えないという、扱いにくさもある。

 うちの場合は相棒がその辺に理解があるから、洗面所にふたつきたらいをおいてつけ置きしてるけど、洗ってるときは絶対洗面所入ってこないから見るのは嫌なんじゃないかと思ってる。まぁ、見て楽しいものじゃないのは保証付きだけれども。

「けど、お前の場合は別に環境がどうこうじゃなくて、洗う手間を差し引いてもかぶれないのが快適だから使ってるんだろ?」

「まぁねぇ」

「だったらそれ以上の付加価値なんてなくていいだろ」

 至極あっさり言われ、それもそうかと思う。

「俺としてはつけ置きのたらいにふたさえしといてくれればそれでよし」

「あれ? 忘れてたっけ?」

「いや、雪都がな。お前が快適だって言うから試してみたら結構いいとか言って使うんだけど、あいつはふたもせず置いとくからなぁ」

「それは一人暮らしだからじゃないの?」

 常に人がいる環境と自分しかいないのが基本じゃまた違うだろうと思って笑うと、相棒は考えるように黙り込む。

「いい情報聞いた。血苦手なんだ?」

「……女より血を見て動じないのは医者ぐらいだろ」

 からかい混じりに言うと、眉間に盛大なしわを寄せてるのがありありとわかる声音で返事が返る。

「でも、私が怪我したときいつも平然としてるじゃない」

「そりゃ俺が慌てたらお前もパニクるだろ。それが保護者の責任ってもんだ」

 保護者ねぇ、と思わないでもなかったけどそこには触れず、小さく笑う。確かに、いつも横にいる相棒が平然としてるから私も慌てずにいられたというのはある。やせ我慢で普通にしててくれたんだなぁと思うとなんだかくすぐったいような気分だった。

「私、あんたが保護者でよかったかも」

 普段から思っているけど恥ずかしくて言えない言葉を、顔が見えていない気楽さに手伝われて口に乗せる。

「そりゃどうも」

 返された素っ気ない言葉がなぜかとても暖かく感じられる。きっと、いつも通りの少し照れたような優しい笑みを浮かべているに違いない。

お読みいただきありがとうございます♪


顔を見ていないからこそ言えることってありますよね。

恥ずかしくて言い辛いことを電話やメールだと伝えられることがあるのも同じ理屈なんだろうな、などと思いながら書いた作品です。

ちなみに、私はこの手のことに理解ある男性は素敵だなぁと思ったりします。鎮痛剤が効かなくて倒れてる部類なので^^;

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