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日々の記憶。  作者: ちびやな@やなぎ
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さしいれ。

いつも通り、ほのぼの、ゆったり設定です。

陽射しがきついことはないけど青空は見える。そんなほどよい梅雨の晴れ間。

 こんな日はドライブにでも行ったら気持ちいいんだろうけど、相棒は珍しく自分の部屋に引きこもって仕事をしている。

 大抵はダイニングテーブルか居間でノートパソコンを広げて仕事をしているのに、こうして部屋に引きこもるのは、小難しい仕事をしているときだ。仕事につまってくると、人の気配が気に障るらしい。

 まぁ、確かに静かな方が集中できるというのはわからないでもない。私も文章を書き始めるとつい、静かな夜の方が集中できるからといってやたらと夜更かしをする。もちろん、相棒には叱られるのだけど、外の物音や、通学途中の中学生の歌に集中力を途切れさせられる時間帯にはやはりやりたくないのだ。

 相棒も、同じ理由なのだろうけど、あまり夜更かしをするのは好きじゃないらしく、もっぱら、耳栓をしてからヘッドホンをかける、というよくわからない防音方法をとっている。耳栓をしたらヘッドホンからの音楽が聞こえにくいだろうと尋ねたら、そのくらいの方が外の音が聞こえなくて丁度いいのだそうだ。

 だから、相棒が部屋にこもって仕事を始めたら声をかけないように、あまりうるさい音を立てないようにと注意しているのが私の習慣だった。やっぱり、養ってもらっている身だし、そのくらいの配慮はしておきたい。

 しかし、いくらなんでも朝から二時過ぎまで一度も部屋から出てこないというのはどうなのだろう? 朝ご飯は急ぐからと言ってトーストを一枚、コーヒーで流し込んでいただけだったはず。部屋に飲み物を持っていった形跡もないし……。

 私自身は、一時を過ぎた頃に冷凍しておいたカレーでお昼をすませている。ちょっと、においに釣られて出てこないかと期待したんだけど、駄目だったのだ。少し考えてから、相棒が部屋から出てくるのを待つのをあきらめることにした。おにぎりでも作って差し入れた方がいいかもしれない。

 台所に行って使えそうな食材を探す。あちこち物色した結果、しらす干し、柴漬けとしその葉、かつお節、ねり梅、が見つかった。このくらいあれば充分だろう。

 柴漬けとしその葉は細かく刻んで、かつお節はお醤油であえる。ねり梅としらす干しは……このままでいいか。それぞれをご飯半膳くらいに混ぜて、一口よりちょっと小さいくらいのころころしたおにぎりを作っていく。

 できたおにぎりはお皿に並べて、ついでに買い置きのお菓子からアーモンドチョコを添えてみた。取り合わせはおかしいような気がするけど、頭を使うときは甘いものも補給した方がいいはず。乾燥防止にラップをかけて、と。

 あとはハンドタオルを絞ってジップロックに入れる。飲み物はほうじ茶を水筒にたっぷり。

 お弁当セットを持って、相棒の部屋の前まで行く。……が、声はかけないで、ドアを開けてもぶつからない位置にお皿や水筒を並べる。

 別に、部屋に入っても相棒は怒りはしないけれど仕事中だとわかっているときは部屋に入らないのが、私が自分で決めたルールだった。

 もっとも、そのままにしておくと気がつかないのは目に見えているから、携帯にメールを送る。仕事中でもメールはチェックするのがあいつの習慣だから、気がつくはず。


 携帯をとりにいったついでに部屋で本を読んでいると、数分後。「おにぎり食べる?」と送ったメールに「サンキュ」とだけ返事。でも、壁の向こうから相棒がドアを開けてお弁当セットを部屋に持っていく気配がしてきた。

 ちゃんと片手で食べられるメニューにしたんだからね、と呟いてから携帯を閉じる。一段落したら、感想きかせてくれるかな?

お読みいただきありがとうございます♪

こんな嬉しい差し入れ、して欲しいですよね。

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