第0話 その世界
魔術は存在するのか
そんなことを尋ねる人間はここにはいない
同じ大地を鳥が駆け
同じ森を魚が泳ぎ
同じ空を竜が舞う
信じるのは神か、世界か、己か
大地を耕す民の恐れは天災ばかりではない
道行く行商人の富が善ばかりとは限らない
世界と調和する者
世界を統御する者
それぞれが己を貫こうともがく
――――そんな世界で
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<第一章>用語解説
―武器―
魔器
使い手の魔力を通わせることにより、一部を具現化させる武器。
心を通わせることで、意思が宿ると言われている。
テシン
魔器の一つ。弦を持たない弓の形をしている。
使い手の魔力により弦と矢を作り出す。
シゼ
片手剣。昔カリシエが使っていたのを打ち直したもの。
簡素だが装飾があり、暗闇で青白く輝く。
ウォーラ
ティリエのテシン。意思を宿している。
臆病な性格だが魔器としての価値は高い。
ハーベスト
ロードの長剣。王宮騎士の物で、豪華な装飾が施されている。
―地名―
リーベ
南の王国。七地方から成り、海、山、平野など様々な地域に分かれ、多くの種族・民族が暮らす。
通貨は「エルバ」
イラニドロ
リーベの北にある小さな村。国境の森に面している。
アティルピア
リーベの首都。多くの人や物資が集まり栄えている。南端にある。
エルバ
リーベの通貨。
―魔物―
クルーガ
真っ黒でツヤのある毛皮をもつ犬型のモンスター。森に住み、群れを為している。
ラエブ
全長3メートル強程の熊。爪や牙が鋭く、背の毛皮は鎧のように硬い。