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⑶ 約束のご褒美

 受験勉強を始めて2週間目に入った。


 毎朝、明里の音読を聞いているが、だいぶ調子がいい。

 数学も高校1年までは真面目に勉強していたというだけあって、思っていたより進みが良い。


・・・・・・


 そして3週間目に入ってからは、CDを0.8倍速で再生し、音読トレーニングを行っている。

 今月の6月中に、CDを1倍速、ネイティブ速度で音読出来る事が目標だ。


 現在数学は、中学までの総復習を終わらせ、高校の数学を始めた。

 今月中に数1の基礎を終わらせる。


 週末は、心と体と頭のリフレッシュとして、適度な運動を行う。

 そして夕食後、私のベッドの上に座って物理の話をする。


 教育には3種類あると思う。

 1つめは学習の遅れている子を皆について行けるところまで引き上げる教育。

 2つめは普通の成績の子を優秀なレベルへ引き上げる教育。

 そして3つめは、凡人を天才に育て上げる教育。


 ただし、この3番目の教育は、大学受験に向いていない。

 よってこの教育は、この時間のみ行っている。


 私は紙とエンピツを用意して、ここでは数式を使わず絵を描いてイメージで伝える。

 最近は熱いお茶とおにぎりを作って、ワゴンに乗せて私の部屋へ運んでくる。

 食べながらベッドに座って話をする。

 明里にとって、この時間が一番楽しいとの事だ。


・・・・・・


 明里はご両親に、大学生の先輩とシェアハウスで生活していると伝えているようだ。

 そして心配を掛けないよう、定期的に実家へ顔を出している。


 明里は今日、夏服を取りに実家へ行った。

 そして高校の夏服を着て私に見せてくれた。


 純白のワイシャツにネクタイ。

 私が「いーですねー」と言うと、明里はくるっと回った。


 フレアスカートの裾がフワッと広がる。

 しかしその奥は……めーない。


 ……わざとだ! わざとに違いない! 実にけしからん!

 このような娘には、お仕置きをしなければ……今夜も……私の頭の中で……。


・・・・・・


 夏休みに入った。

 朝、私が出社するまでの90分、基礎物理を教える時間に割り当てた。

 そして私が出社しているあいだ、厳選英文の丸暗記。

 英文を読みながら、頭の一方で訳が出てくるように暗唱音読を繰り返させた。


 それと数学の演習問題。

 こればかりは数をこなさなければ結果に繋がらない。

 英語の暗唱音読と数学の演習問題を交互に行うよう伝えた。


 そして私は明里に提案した。

「今後は模試を受けていきましょう。8月の模試で3科目の平均偏差値50が目標。達成出来れば何か1つご褒美をあげよう」

「M大レベルの理系って、偏差値62前後でしょう、間に合うかなぁ」


「今は基礎を固めている。

  8月の模試で偏差値50

 10月の模試で偏差値54

 12月の模試で偏差値58

  2月の入試で偏差値62」


「そんなにうまくいくかなー偏差値って高いほど上がりにくいよね」

「明里の成長は2次曲線になっている。私を信じなさい」

「はい! 信じます!」


・・・・・・


 9月に入った。

 8月におこなった模試の結果が返ってきた。

 平均偏差値は50.2。なんとか目標達成である。


「約束のご褒美、何がいい?」

 明里は嬉しそうに答えた。

「お願いを1つ叶えてくれる券」


「なんだそれ……」

「おじさんからのご褒美、大切に取っておきたい……いい?」

「……わかった。私の出来る事なら」

「おじさんの出来ない事なら、お願いしても意味ない」


 私は『お願いを1つ叶えてあげる券』と書いた紙を明里に渡した。

 明里はそれを嬉しそうに受け取った。


しかし、おじさんは頭の中で、明里さんに毎晩、何をしているのでしょう。

やはり、この変態おじさんには、心を許してはいけません。


次回:私のお守り

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