第8話 ダブルデート?!
「よし、最初はジェットコースターよね」
高橋は今日のために予定を立ててきたみたいだ。でも、みんなで来る遊園地ってみんなで何乗る〜から始まるもんやないんかな。まあ、高橋、そういうとこあるんよなぁ。
「みんなはどう?」
神田さんはななかさんの顔を伺ってる。
「よし、行こう!沢山並ぶ前にね!」
「僕も同意見で」
「よし、行こう!」
そう言いながらずんずんと歩いてく。なんか懐かしい。嫌な部分で良い部分でもある。
「あ、石田。迷子になったら怖いからはい。地図」
あー、そうだ。高橋はすぐに迷子になるんやった。
「了解、了解。分からんくなったらすぐに伝えろよ。ちなみに今から行くのは?」
「えーと」
指を指しにきた。今気づいたが今日の高橋は香水を付けているらしい。なんか急に女の子感が強くなったな。高橋はななかさんと歩きはじめた。前には女子二人、俺は神田さんと後ろを歩いていた。
「いやー、晴れて良かったですね」
「はい、気分よく楽しめそうです」
「お互い敬語なしにしませんか?」
「いいっすね。ちょっと話にくいと思ってたし」
「良かったぁ僕だけではなかった」
神田さんは不思議な人だ。見た目から大人に見えるのに話してみたらどこか子供感が否めない。まあ、使う言葉とか思いっきり大人やけど。
そんな事を思ってたらジェットコースターについた。思ってたよりでかいな。
「ほんとにスタートこれかよ」
「そうよ、いくよ」
高橋はもう踊りだしそうなぐらいワクワクしてる感が隠せてない。前には1時間待ちかなと思うぐらい並んでる。
「思ったより並んでま、並んでるっすね」
「うーん、無理してタメ口にするのもしんどそうやね」
「はい、ここまで敬語を何気なく使ってたので」
「うん、敬語でもええよ」
「あざます」
そんな事を喋りながら並んでたらもう自分達の番になった。早いものである。
数年ぶりのジェットコースターは思ってたより楽しくてしんどかった。
「みんな、まだまだいける?」
神田さんとななかさんはもうダウンしかけだった。
「やっぱ2連チャンでジェットコースターは無理よねー。なので、お化け屋敷いきます!」
おー、次はお化け屋敷かジェットコースターの近くでちょっと気になってたんだよね。
「それと、はい」
高橋の手に4本の棒が握られていた。
「「これは?」」
「ここから行く場所を変えるたびにこの棒を引いて2人組になってもらいます」
「なるほどね、楽しそうやん」
棒の先には赤と青のマスキングテープが貼られているのが2本あった。
「俺、赤やん」
「僕は青だね」
「あたいも赤や」
「私は青」
高橋とお化け屋敷か。てか、こんなんほぼデートやん。ん?高橋ってお化け屋敷苦手やなかったっけ。
「よし、いくぞー」
まあ、元気そうやし良さそうや。
青チームが前を歩き、俺たち赤チームが後ろを歩いている。神田さんとななかさんのチームは楽しそうに喋ってる。こちらはというと……。
「なあ、石田お化け屋敷行くのやめへん?」
「やっぱりか」
「だってー、ジェットコースター連チャンが無理だった時の事なんも考えてなくてたまたま見えたお化け屋敷にしちゃったもん」
「まあまあ、行くぞ。神田さんとななかさんが心配すんぞ」
「それもそうだね」
なんか高橋がふんすふんすしている。さあ、どう怖がらせてやろうか。
「なんか悪い予感がするけど大丈夫かな」
「大丈夫大丈夫、なんかあったら俺に助けを呼びな」
「それが1番心配なんやけど」
「まあまあ」
「千弦ちゃん、石田さん。お化け屋敷着きましたよ!」
ななかさんが呼んでいる。
「ほら、覚悟きめな。行くぞ」
俺たちはお化け屋敷に入っていった。