第6話 すれ違い(2)
「あれ、石田じゃん」
高橋はいつもと変わらない感じだった。
「そやで、石田やで。今日はどうしたん?」
「まあまあ。そっちは?」
何故か高橋は答えようとしなかった。
「こっちは前の時に話してた元カノと遊びにきた」
「そっかー、じゃ」
高橋は神田さんという人を引っ張って足早に去っていった。
「どうしたんだろうね」
後ろからななかさんが話しかけてきた。ちょっと背伸びして肩に顎をのせてきた。
ギュッと心の臓がつかまれる感覚があった。
「しんどくない?」
やばいやばい、ときめいてるのばれてないよな。今、顔をみられたらばれるな
「ちょっとしんどいな」
見なくても分かる、ななかさんは今ほぐれた笑顔してる。うん、やばい。
「すまん、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「おっけー、私も行ってくるからお互い終わったらここで待とうね」
「了解」
顔を洗ってると隣の人に話しかけられた。
「石田さん?」
「あ、はい。そうですけど」
そこには神田がいた。
「初めまして。神田充と申します。 大橋ななかのバイト先の先輩です」
あー、だから知ってたのか。
「あ、石田貴大です。高橋千弦の高校のダチです」
「もしかしてデートですか?」
「いえいえ、ただ遊びにきただけですよ」
そんな他愛のない会話をしてたら神田は去っていった。
その後とりあえず落ち着いてから待ち合わせの場所で待っていた。
ブブッ
(この猫かぶり)
高橋から連絡がきた。
(また今度、飲みにいかへん?)
とりあえず喋りたいけどこないだろうな。
「ごめーん、待たせたかな」
「全然待っとらんよ、ちょうど出たとこ」
その後、イルカショーをみてお土産店をみて帰ることになった。あの後ときめくことなく普通に帰ることになった。
とりあえず、ななかさんの最寄り駅まで送った。その後普通に帰った。
ブブッ
(今日はありがとう!楽しかった!
また行こうね)
ななかさんは付き合ってた時もそうだったがお互いが帰路になったら今回みたいな連絡をくれる。恋愛どうこうではなく、1人の人として尊敬している場所である。
(こちらこそありがとう!また日程があったらいこうね)