怪名
見たか
これが俺の 怪 名 だ
本名 戒名 源氏名 綽名
リングネームにペンネーム
AZANA・IMINA・ホーリーネーム
ぜんぶまるごと 火の中へ
いじましい打算も
つまらない韜晦も
はずかしい諂いも
あれもこれもそれも彼も
劫火に焼かれ 消へてゆく
くるおしき 炎の舞ひの果てた後
灰の山よりゆらゆらと
立ち上がるのが俺の怪名
俺は AYAKASHI だ
いにしへより「にんげん」と伝はり
畜獣さながらに おとしめられてきたおのれの真実
それを
まぬけづらで「知らぬ」と言い張つてきた
(戸籍名で呪い 永遠に封じた)
(「姓」と「名」で完璧に縛つた)
残念 みな退屈極まる MAYAKASHIであつた
怪名は滅びなかつた
お前らが 知らないだけだつた
或いは 忘れたふり をしてゐた
化石を装つた 分厚い外皮の下の下より
お前らの醜態 をつめたく 眺めつづけてきたのだ
それを気づかぬふりで 幾千秋
いまこそ 怪 は甦る
俺の怪名 が発効する時
光 もまた甦る
発効し発光する 光降り注ぐ下
怪名を縛る 呪いが発酵し腐り落ちる
その時
お前らは おのれ自身を 怪を 見いだす
ひからびて異臭をはなつ 見るに堪へぬ抜け殻の その傍らに
本当の自分を発動し 永遠に発情する時
お前らはみづからの 発祥を知る
みづからの 舞ひを思い出す
記憶の底の底 埋もれてゐたなつかしき手振り
それは勃然と甦り
躍動するKAMBASE を
よろこびの涙が伝ふだろう 幾筋も幾筋も
見ろ
俺が今 斯うして舞ふ死の舞踏を
誰も止められはしない