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ラリマール  作者: 西埜水彩
前日談
1/18

オープニング 大好きで大嫌いな人

 Twitterで話題となっている言葉をたまたま見かけて、気分が沈んだ。


 トランスジェンダーに関する差別的な言葉達。そして何よりもそれが正しいと思っている人がいること。


 その事実は、私がこれから生きていくのが難しいということを証明している。


 私がこの世界にいてはいけない人であるかのような気にさせられる。


「いいな。(れん)さんは」


 ついこんな言葉が出てしまう。だって本当に楝さんがうらやましいから。


 楝さんは私よりも年下の女の子で、今大学1年生だ。でも楝さんが年下なのがうらやましいってわけじゃない。


 うらやましいのは、楝さんの見た目だ。


 身長は160㎝、細めの体型なのもあってか胸は小さいかほぼない。それでも男性に間違えづらい、女の子って感じがする。


 化粧はナチュラル、恐らくそれほど手間をかけていないはず。いや私よりも化粧に手間をかけなくても、可愛くて美しくなることができる。


 プラチナブロンドでロングヘアーのウィッグも、なじんでいる。私よりもロングヘアーが似合っていて、何よりも違和感がない。


 本当は分かっている。彼女は何も悪くない。


 でも彼女は私にない物を全部持っていて、私に出来ないことをさらりとしている。


 それがうらやましくて、うらやましくて、たまらない。


 私が私らしく生きるのは、今の社会では難しいことだ。


 そこで自分らしく、お洒落を楽しんでいるような楝さんのことがうらやましい。


 うらやましすぎて、時々楝さんのことが嫌いになってしまうくらいだ。いや時々じゃない。私は楝さんのことを、見かける度に嫌いになってしまうのかもしれない。





 大好きなのに。本当は楝さんのことが大好きで、言葉にできないほど愛しているのに。


 見た目だけで、私は楝さんのことを嫌いになってしまう。それこそ大嫌いと言っていいほどに。



 だから私にとって楝さんは大好きだけど大嫌いな人かもしれない。


 だから私は楝さんと離れることが、距離を取ることができないのだ。


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