『原文帳屋とキツネ』
あるところに原文帳屋がいました。本当は、半紙屋なのですが、半紙なんて、原文帳にしか使いませんから、同じことです。
原文帳屋は、キツネに悩まされていました。夜な夜な倉庫に忍び込んで、売り物の原文帳を布団がわりに寝たり、ちょっとここでは言いたくないような使い方をするのです。
原文帳屋は、倉庫にわなをしかけて、キツネをとらえました。キツネは賢いと言われますが、人間様の足元にも及ぶものではありません。これまでの狼藉に腹を立てていた原文帳屋は、キツネのしっぽにたっぷりと油を染み込ませてから火をつけ、思い切り蹴飛ばしてやりました。かわいそうな気もしますが、先に狼藉を働いたのはキツネです。ただ、やり過ぎです。
キツネは、熱さよりも怖さで、ぐるぐる回りました。ぐるぐる回って、あろうことか、原文帳倉庫に走り込みました。
あとは御想像のとおりです。原文帳屋の原文帳倉庫は、三日三晩燃え続け、旅人の道しるべとなったのでした。
教訓:速記者の道しるべにもなったらしい。